日韓併合100年:「総督府が持ち出したものは全て返還対象」

日本にある文化財の返還はどこまで

権哲賢(クォン・チョルヒョン)大使「正確な資料の確保が必要」

宮内庁にある660冊以上をまずは返還か

 菅直人首相が10日に発表した談話文で「朝鮮王室儀軌など、韓半島(朝鮮半島)由来の図書を近いうちに渡す」と発表し、今後返還される図書の範囲や手続き、時期などに関心が集まっている。1965年に締結された韓日協定(文化財および文化協力に関する協定)によって、日本が略奪した韓国の文化財1432点が返還されて以降、日本政府が公式に文化財返還の意向を示したのは今回が初めてだ。文化財庁の関係者は「日本政府が45年ぶりに文化財返還の意向を示したことは歓迎する」としながらも、「ただし談話の内容は原則的で宣言的なものだったため、実際にいつ、どれだけ返ってくるかは実務交渉をしてみなければ分からない」と述べた。

■返還対照の範囲は

 返還対象に含まれるのはどのようなものか。談話文では「朝鮮王室儀軌」が直接言及されただけに、日本の宮内庁に所蔵された儀軌は返還されそうだ。権哲賢(クォン・チョルヒョン)駐日大使は「朝鮮総督府を経て持ち出され、現在日本政府が保管している朝鮮王室儀軌など、宮内庁が保管する図書だけでなく、全国にある国公立の博物館や図書館などに散在する韓国の図書の中で、総督府が持ち出したものはすべて返還するという意味だ」と解釈した。その一方で、「韓国政府が十分かつ正確な資料を確保していないので、今回の交渉でこちらの意向を正確に伝えることができなかった側面もある」とも述べた。

■交渉に先立ち正確な実態把握が必要

 日本国内に韓国の文化財がどれだけあるのかについての正確な資料はない。今年2月に文化財庁国立文化財研究所は、日本の250以上の政府機関や個人が合計6万1409点の韓国文化財を保有しており、その中で宮内庁で保管されているものは639種4678冊に達すると発表した。この中で違法に持ち出されたものは最低でも660冊以上あり、調査によっては700-800冊以上になる可能性もある。文化財庁は専門家による調査団を派遣し、宮内庁などに保管されている韓国図書の実態を正確に把握し、返還対象目録を作成した上で、交渉に臨むという方針だ。

■返還対象の限定は問題

 今回の談話文に文化財の返還が含まれたのは、韓国政府による水面下での交渉や民間団体による運動などの成果だ。韓日併合100年を迎え、今年は必ず日本国内にある略奪文化財を取り戻すべきという国民世論も大きく影響した。

 しかし返還対象が図書に限定されており、それ以外の文化財返還に関しては今後も議論が続きそうだ。また実際に返還が行われるに当たっても、数々の難関が予想される。文化財庁文化財活用局の朴英根(パク・ヨングン)局長は「日本政府が返還対象を朝鮮王室儀軌に限定するとか、あるいは今回を最後に返還は行わないという形の条件を付けてくれば、これを受け入れるのは難しい。これは政府の基本的な立場だ」と語る。宮内庁内にある韓国図書の実態を調査した韓国文化遺産研究院のパク・サングク院長も「返還対象を儀軌に限定するのであれば、これには反対する。最低でも宮内庁内にある違法搬出図書は一度に返還しなければならない」と述べた。朝鮮王室儀軌返還委員会は朝鮮王室儀軌だけでなく、最低でも宮内庁にある文化財はすべて返還されるよう、今後も運動を続ける方針だと明らかにした。

許允僖(ホ・ユンヒ)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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