韓国 2010年8月11日(水曜日)
進む「韓国企業締め出し」:海外で税務調査・包囲網も[経済]
世界規模の金融危機の中でもいち早く回復を遂げた韓国企業の躍進をけん制する動きが、世界で広がっている。ターゲットは電子や自動車、原子力など韓国企業の成長が目立つ分野で、多国間の企業同士が協力体制を築いて韓国企業に対抗しようとする動きが活発化。インドやブラジルでは、大々的な税務調査が実施されるなど、「韓国企業締め出し」の動きが加速しているようだ。
現在、緊張が走っているのはインドだ。同国の家電市場のシェアの50%以上はサムスン電子やLG電子など韓国企業で占められているほか、自動車市場においても現代・起亜自動車グループが市場2位につけるなどその躍進ぶりが目立っている。
こうした中、インドの税務当局は先月末、外資系企業を対象にした税務調査に乗り出した。同局は、今月末までに本社情報や本社との取引規模、移転価格の算出根拠などを提出するよう求めており、現場は騒然となった。同国でトップを走る外資は韓国勢が主なことを考えると、同調査が韓国企業をメーンターゲットにしたものであることは明白だ。
これに先立ちブラジルでも韓国産の“くいを打つ”動きが始まっている。背景には、同国における今年1〜5月の韓国産自動車の成長率が昨年同期と比べて3倍以上伸びたのに対し、同国自動車産業の平均成長率は75%にとどまったことなどがある。
ブラジルの連邦税務局は今年6月、ブラジル自動車工業会(Anfavea)の要請を受けて現代・起亜自など韓国の完成車メーカーに対する税務調査に着手。移転価格調査などを行い、相当額の追徴金を課すことが予測されており、現代・起亜自は厳しい立場に追いやられている。
■他国企業連合で対抗
日本や欧米諸国を中心に、国を超えて各企業が協力関係を結ぶことで、韓国企業を包囲する動きも増えている。
中でも日本と台湾企業の提携がその筆頭といわれている。
エルピーダメモリ(本社・東京都中央区)と台湾の茂徳科技(プロモス)は昨年末、生産委託に関する協力提携を締結。DRAM(記憶保持動作が必要な随時書き込み読み出しメモリー)の共同生産を進めている。
先月には東芝(本社・東京都港区)と台湾のTCL集団が、中国にフラットテレビの販売会社を設立することで合意。日本の技術力と台湾の製造能力を結合させ、液晶ディスプレー(LCD)市場でトップを走るサムスンとLGに対抗しようとする姿勢が目立っている。日本と台湾の企業が提携して中国に進出した合弁企業数は昨年6月基準ですでに415社に達している。
こうした動きが進む中、韓国ディスプレー産業協会が発表した世界の大型LCD市場の第2四半期(4〜6月)のシェアは韓国が前期比1.8ポイント下落の48.2%となり、08年以来初めて50%以下に落ち込んだ。対する日本は0.6ポイント上昇の11.4%、台湾も0.2ポイント上昇の36.7%を記録し、わずかながらシェアの差を詰め始めている。
■原発もねらい撃ち?
近年、“ドル箱”として注目されている原発市場も状況は同じだ。
韓国が昨年、アラブ首長国連邦(UAE)で相次いで大型の原発建設事業を受注したことをきっかけに、三菱重工業(本社・東京都港区)と仏アレバが原発分野で協力関係を締結。両社は、原発用燃料の共同生産を行う方針だ。
また、原発分野に関しては、日本と米国が国家単位で原発施設建設の共同受注に乗り出すことで提携する案なども進んでいる。
このほか、富士通と米マイクロソフト(MS)がクラウドコンピューティング分野で、トヨタ自動車と米テスラモーターズが車を共同開発することで提携しており、韓国企業の脅威になっている。韓国経済新聞などが伝えた。