【イスラマバード=五十嵐誠】国連は10日、アフガニスタンで今年上半期に紛争によって死亡・負傷した民間人が3268人で、昨年同期より3割増加したとする報告書をまとめた。このうち死者は1271人で上半期としては2007年以降最悪となった。戦況の泥沼化が市民の犠牲者増にもつながっている実態が改めて浮き彫りになった。
報告書によると、民間人の死亡・負傷の76%がタリバーンなど反政府武装勢力の攻撃によるもので、昨年同期に比べ53%増加した。タリバーンなどが多用する仕掛け爆弾と自爆テロによる市民の死者・負傷者は全体の半数に達した。また、政府・外国部隊への「協力者」をターゲットにした暗殺や「処刑」は約2倍になった。
一方で、アフガン軍や国際治安支援部隊(ISAF)など政府側の攻撃によるとされるのは12%で3割減った。特に誤爆による死者は191人から69人に減少。昨年6月に市民の犠牲を極力減らすため、空爆などを制限した外国部隊の戦術変化の効果とみられる。