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[20989] MUVーLUV ALTERNATIVE~三度目のループ(第二話②更新)
Name: 騎士王◆cd16c2d4 E-MAIL ID:a7bee6ac
Date: 2010/08/11 16:26
初めまして、騎士王と言います
初のアルカディアでの投稿に緊張しまくってます
偶に短文になる事もあるかも知れませんが、温かく見守って下さい


この作品は
・タケルちゃんチート…かも
・オリキャラ・オリジナル戦術機
・時々(?)キャラが崩壊
などなど…と有りますのでご了承を…嫌いな方は見ない方が良いです
応援のメッセージ受け付けてます…更新の力をオラにわけてくれ…(えっ?)


修正・第一話①
ちょい修正しました…
この頃(小説の設定時期)まだ佐渡島ハイヴ無かったよ……まだちょい未来だった…グハッ!?
修正・プロローグ
真耶の名前が真那に……
修正・プロローグ・一話①
巌谷中佐の所をオリキャラに変更しました…
お゛お゛ぅ…唯依姫登場のが遠退いていく…



[20989] MUVーLUV ALTERNATIVE~三度目のループ~プロローグ
Name: 騎士王◆cd16c2d4 E-MAIL ID:a7bee6ac
Date: 2010/08/10 19:00
1998年・1月ーーーーー
仙台・第二帝都城ーーー「雪か…寒い訳だ」
白い息を吐きながら、帝都城の渡り廊下を歩く男ーーー帝国斯衛軍大佐・斉御司兼嗣
『五摂家』の一つの現当主で、齢50を超えて尚、未だに戦場を駆ける『武士』の一人
「日本の未来は…一体何処に向かうのだ…」
米国に政権を一時的とは言え、握られ
日本が迷走し、将軍家の存在が『お飾り』とまでされ、今の日本には『幸せな民』は一握りしか居ない現実に嘆く日々ーーー
苦々しく表情を浮かべる斉御司大佐の顔は歯を食いしばりなからも空を見上げる…
「アラ…そなたは…?」
「あ…貴女様は…殿下!?」
声をかけられ、振り向くと、幼いながらも将軍になった『煌武院 悠陽殿下』と、護衛の『月詠 真耶中尉』が歩み寄って来た
「斉御司兼嗣殿ではありませんか…」
「ハッ…殿下に名前を覚えて頂き至極有り難き幸せで御座います」


クスクスと笑いながら冗談を言う斉御司大佐
その後、跪いて頭を下げる


「何をしてたか…聴いて宜しいでしょうか…?」

「ハッ…日本の現状と行く末に頭を悩ませながら、空から降る雪を見ながら考えてました」


「……スミマセン、私に力が無いばかりに…」


「で、殿下、頭を上げて下さいっ!!」

説明すると悠陽殿下が頭を下げながら謝罪する
それを見て、頭を上げるように説得する真耶中尉


「……未だに将軍家の威厳は昔のようにありません…


しかし、私には皆さんの力も有って、将軍として力を振るえるのです」


「勿体無き御言葉…」


悠陽殿下の御言葉を聴き、感動する真耶中尉…

「しかし…あと一手…
あと一手何か『決め手』があれば…!!」

斉御司大佐も苦痛な表情をしながらも悩んでいた…
そしてーー再び雪降る夜空を見上げるとーーーー


「「「ーーーーーなっ!!?」」」


突然の目の前に光輝く柱の出現に驚愕する三人
輝きが徐々に消えていくと、気を失った一人の青年が姿を現れた


「コレは一体…!?」


余りの出来事に驚愕を隠せないでいる斉御司大佐


するとーーーー















「タケル…様…?」

「えっ…?」
「殿下…?」
悠陽殿下の一言に反応する二人だった…



[20989] MUVーLUV ALTERNATIVE~三度目のループ~第一話①
Name: 騎士王◆cd16c2d4 E-MAIL ID:a7bee6ac
Date: 2010/08/10 10:20
「う…ん……………ん?」
目を覚ますと、見知らぬ天井が見え、起き上がりながら辺りを見る
「此処は…何処だ…?」寝ぼけながらも脳をフル回転させるタケル
そして出た結論はーーー
(…もしかすると『御剣家』の一部屋か…?)
以前、御剣冥夜と御剣悠陽の実家の御剣家に訪ねた時があり、(強制連行だが…)その内の一部屋に似ている記憶があった
(やっぱり、悠陽や冥夜の実家ーーーーー痛っ!!)
すると、突然の頭痛が襲い、膨大な『記憶』が流れて来る!!


(BETA……横浜基地…?
戦術機…G弾…凄乃皇四型…!?)


徐々に流れて来る『記憶』に少しずつ『理解する』タケル…そしてーーー
(柏木…伊隅大尉…速瀬中尉…涼宮中尉…!!)
そして、尊敬すべき先任達の記憶と悲しき別れの記憶…
(神宮司軍曹…委員長…彩峰…美琴…タマ…)
そして、最も尊敬すべき恩師と苦楽を共にした仲間達の様々な記憶…
(冥夜ーーーーー!!
純夏ーーーーー!!)
そして、こんな自分の事を最も愛してくれた二人の記憶ーーーーー
「ハァ…ハァ…
コレは…もしかしてーーーー」
今、タケルの脳裏にひとつの『考え』が浮かび上がる
「『帰って来た』…のか…?
『BETAのいる世界』に…?」
『三度目』のループだと答えを見つけるタケル
記憶が『全て』思い出すと同時に涙が溢れてきた「やった…やったぞ…白銀武…!!」
記憶を思い出したタケルにとってーーーー
『三度目のループ』は…望むべき『願望』だった…
「これで…みんな…みんなを…救える…!!」
納得のいかなかった『一度目と二度目』のループ
一度目は力が無かったーーーー
二度目は覚悟が足りなかったーーーー
だが、今回は違うーーーー!!
「今回こそ…今回こそみんなを救ってみせるっ!!
絶対に…あんな悲劇は二度とゴメンだっ!!!」
右手を拳にし、力強く握り締める
決意は決まったーーーー
やる事も決まったーーーー
力も覚悟もあるーーーー
次する事はーーーー!!
「……まずは情報を集めよう…
ここが『三度目の世界』であるならば、『御剣家』では無い筈…
…という事はーーーー」


記憶を振り絞って出した結論はーーーー
「…帝都…なのか…?」以前までのループと違い、『白銀家』でのスタートでない事に少し戸惑うタケル
しかし、このような豪華絢爛な和風な部屋は滅多に有るモノではない
特に『BETAの居る世界』ならば尚更
まず浮かび上がる答えは『帝都城』
帝都城ならば、この作りは納得する
日本を象徴とする帝都城ならば、この豪華絢爛な部屋も当然の事
「…という事は…京都か仙台の帝都城…なのか…?
それとも高位の武家の家なのか…?」
益々わからなくなってきたタケル
混乱しそうだったので、考えを切り替える事にする

(とりあえず…場所は保留にしとこう…
次は…今は何時頃の時代なんだ…?)
普通に考えれば『2001年10月22日』なのだが、今回のループは違う
目覚める場所が違う為、何か『違う』気がしたタケル
辺りを見回してみるが、カレンダーは無く、唯一骨董品みたいな古い柱時計があった
(日付は9日…時間は夜中の2時12分か…)
日付は違う
時間帯も違う
年号はわからない
この部屋では情報が全く無い為、難航するタケル
(参ったな~…情報が少な過ぎる)
ボリボリと頭をかきながら寝台から起き上がる事にしたタケル
するとーーーー!!


「目覚めたようですね…タケル様…」
「悠陽…殿下…?」
知っている『煌武院悠陽殿下』とは少し『幼い感じ』がした為、一瞬戸惑うタケル
「殿下…先に入られては困ります」

「大丈夫ですよ、真耶さん」
すると、悠陽殿下の後ろから真那中尉が現れ、悠陽殿下の前に立ち、タケルを警戒する
(あれは月詠さんの従姉妹の月詠真耶さん…だっけ?)
タケルも数回程度しか合った事が無い為、少し困惑する
「貴様…白銀武か…?」
「ハイ、オレは白銀武です…
スミマセンが、今の年号と日付を教えてくれませんか…?」
真耶中尉に質問に正直に答え、タケルも真耶中尉に質問する
「…今は『1998年1月9日』だ」

「せ、1998年ッ!?」
予想外な年号が出た為戸惑うタケル
「そ、それじゃ、此処は何処ですか!?」

「仙台の第二帝都城の一室だ」
「えっ、ええぇぇえぇぇっ!?」
更なる返答に混乱するタケル
「今度は此方からの質問だ
正直に答えよ」
鋭い眼光を放ちながら、タケルに問いただす
「貴様は何者で何故光と共に現れたのだ?」
「…その時の詳しい状況を教えて下さい…」
タケルの心の中で『やっべー…もしかして大勢の人に見られた…?』と嫌な汗を流しながら真耶中尉の返答を待つ
「数時間前…殿下がその日の作業を終えて、寝室に向かう際、とある渡り廊下で帝国斯衛軍大佐の斉御司兼嗣殿と出逢い、少し話をしてた際、貴様が我等の目の前で光と共に現れたのだ」

「ノゥ…やっちまった…」


目撃者が三人だったのは幸いだが、少なくとも『斉御司大佐』の事は全く知らない人故に焦りが生まれる
「大丈夫ですよ、タケル様…
斉御司大佐には此度の事は内密にと言って起きましたので、他の方には漏れる事はありませんわ」
「ふぃ~…有り難う御座います…殿下…」
少し安心したタケル
そして、真耶中尉の問いに答える

「オレは『この世界』とは違う並列世界から来ました
ただ、以前『BETAのいる世界』に飛ばされた事があり、『二度の結末』を見て『元の世界』に帰りました…」
「違う『並列世界』だと?
詳しく話すのだ」
「良いですけど…眉唾的な話ですよ?」
「それでもだ」
「……わかりました…
これから話す事は…全て『真実』です」
タケルの真っ直ぐな眼を見て『嘘では無い』と悟る悠陽殿下と真耶中尉…
「始まりは…オレん家から始まりました…」
2001年10月22日ーーー
全ての『始まり』は其処から始まったーーーー
『一度目』は何が何だかわからない自分は混乱し、横浜市柊町をうろつき、廃墟とした光景に唖然とした…
幼なじみの家は撃震で破壊され、周りの建物も同じように破壊されていた
辿り着いた場所は『国連軍横浜基地』
その場所は自分の通ってた学校の有った場所だった…
その後、正門前の衛兵に怪しまれ、捕まるが、此処である人物に出逢うーーーー
『国連軍横浜基地副司令・香月夕呼』
皮肉にも、『元の世界』での知ってる人物であり、お互いに切っても切れない『縁』である彼女に出逢い、拾われたのだ
「…あの『魔女』の知り合いとは…」
「確かに先生は他の人にしてみれば『油断出来ない人物』ですが、『中身』を見れば『優しくて頼りがいのある人物』なんですよ
堅い考えと偏見な見方を止めて、よ~く中身を見れば理解出来ますよ
…ただし、それまでにどんな理不尽な『イタズラ』が待ち受けてますけどね…」
「な、何故泣く!?」
夕呼の事を理解してるタケルが真耶中尉に『香月夕呼』の事を説明するが、その最中に『悲しき記憶』が蘇り、るーるー…と涙を流す

…それからタケルに『生きる術』を教える為に『訓練兵』として学ぶ事になった
その際、『元の世界の恩師』である神宮司まりもに出逢い、『207B分隊』に配置される
そしてーーーー其処でかけがえの無い仲間達と出逢うーーーー
榊千鶴
彩峰慧
鎧衣美琴
珠瀬壬姫
そしてーーーー『御剣冥夜』
『元の世界』でも仲の良かった友でもあり、『BETAのいる世界』では大切な仲間だったーーーー
「ーーーーー冥夜…様だと…?」
この事に驚愕する真耶中尉だが、冷静に話を聴く悠陽殿下…
それから、悪戦苦闘の毎日が続いたーーーー
みんなの足を引っ張りながらも、『総戦技演習』をクリアし、衛士になるべく戦術機の訓練をしていた
その際、『元の世界』でのゲームが役に立ち、戦術機の腕前では『天才衛士』と言われるまでに評価された
しかし、様々な事件が起こり出す
群馬・新潟沖に佐渡島のBETAが上陸し、『新潟沖BETA襲撃』が発生
横浜基地を目標とし、突撃するが、なんとか最終防衛線にて阻止する
爆薬満載なHSSTによる『横浜基地強襲』
この時は訓練兵でありながら『極東一のスナイパー』である珠瀬壬姫が『1200mmOTHキャノン』を使い、撃墜に成功
噴火目前の天元山による『災害救出活動』
この時は冥夜と二人で力を合わせ、『第3世代機高等練習機・吹雪』にて天狗岩を両断し、マグマの進路を変えて麓の村を救う事に成功するーーーー
だが…しかし…『12月25日』ーーー
オルタネイティヴ4は失速し、オルタネイティヴ5が発動
選ばれた10万人だけ宇宙の何処かにある惑星に逃げ、地球は残った全人類によるG弾による殲滅作戦が始まったーー
「そんなーーーー」
「ふっ、ふざけてるっ!!
G弾による殲滅作戦だとっ!?」
「…その後の結果はオレにはわかりません…
途中で死んで『二度目のループ』に行った為、『人類の勝利』か『滅亡』かは知りません…
けど、『対応』をするBETAの事を考えれば…『滅亡』の可能性の方が遥かに高いでしょう…」
タケルの言葉を聞き、絶句する二人だった…
「そして、次に『2度目の世界』です…」
『二度目の世界』はオルタネイティヴ5を避ける為、『未来を変更する』手段を取った
普通ならば絶対に不可能だが、タケルだけは違った
『未来』を唯一知る人物ーーー
だからこそ『未来の変更』が可能になった


幸いな事に『一度目』で鍛えた肉体と知識、そして衛士としての腕前は継承していた為、多少の日にちを早め、少しずつ『未来を変更』していたーーーー
『新潟沖BETA襲撃』も香月夕呼の力を使い、帝国軍をBETAが上陸する付近に配置し、前回より被害の少ない未来に変更したーーー
HSSTによる『横浜基地強襲事件』も、前もって監視と脅しを入れ、阻止する
天元山の『災害救出活動』も、強引な手段とは言え、民間人の救出に成功する
そして、タケルの機動特性を元に作った新OS・『XM3』を開発
後に『全衛士の半数を救うOS』とまで呼ばれる事になる

…だが…予期せぬ事態が起きた…
帝都でのクーデター事件
煌武院悠陽殿下をも巻き込んでの大事件を始めとして、横浜基地に現れたBETAの『トライアル襲撃事件』
そして、佐渡島を消滅という結果になったが、『佐渡島ハイヴ攻略』に成功する
その3日後にBETA達が陽動などを使い、『横浜基地襲撃事件』を発生
そして…息を吹き返したオルタネイティヴ5の危機を回避する為ーーーーー
『桜花作戦』を開始するーー

「…桜花作戦とは…何だ…?」
緊張感が張り詰める中、質問する真耶中尉…
「桜花作戦の作戦内容はーーーー
『オリジナルハイヴ攻略戦』です…
そして…多大な犠牲がある中…桜花作戦は成功しました…」
「「ーーーーーーーーーッ!?」」
人類の念願の夢のひとつである『オリジナルハイヴ攻略』
それが現実になったと知り、衝撃が二人を襲う!!
ーーーしかし…タケルの表情は暗いまま
『オリジナルハイヴ攻略』を成功したというのに『笑顔』が消えた…
「しかし…桜花作戦で…かけがえの無い仲間達を失いました…
委員長に彩峰に美琴にタマ…
そしてーーーー幼なじみの純夏や…冥夜まで…オレを生かす為に……戦い…二度と逢うことは叶いませんでした…」
「ーーーーーッ!?」
「冥…夜……が……」
『御剣冥夜の死』を知り、衝撃を受ける二人…



[20989] MUVーLUV ALTERNATIVE~三度目のループ第一話②
Name: 騎士王◆cd16c2d4 E-MAIL ID:a7bee6ac
Date: 2010/08/09 14:43
タケルの説明を終えて言葉を失う悠陽殿下と真耶中尉
「…結論を言うと…半信半疑だな…
いきなり佐渡島ハイヴだの…未来だの言われても、貴様の言う通り『眉唾的』な話ばかりだ…」


「それは仕方ない事ですよ
『証拠』を出せと言われても『物』として有る訳でないから出せませんし…」
「そうですわね…」
流石に証明するモノが無く、決定的な実証が出来なかったタケル
「…だが、貴様が嘘を言ってる節は見えなかった…
だから、とりあえず『話を聞いておく程度』にしておく…
…でなければ…私は貴様を『殺して』しまいそうだ…
冥夜様が…死ぬなど…許されるハズが無い!!」


内心怒り心頭の真耶中尉…
やはり『御剣冥夜死亡』の話はかなり揺らいだようだ…


だがーーーーー


「ーーー月詠中尉、頼みが有ります…」
「…なんだ…?」
「オレをーーーー気が済むまで殴って下さい」
「「なっ!?」」
タケルの突拍子も無い言葉に驚愕してしまう真耶中尉と悠陽殿下
「何故ーーーーと聞いて良いか?」
「オレは…自分が許せません…
仲間達を救えずに…逆に守られる身だった自分に…
そしてーーー冥夜の命を……この手で『奪った』自分が許せません…」

「…えっ?」

予想外な返答に唖然とする悠陽殿下
そしてーー!!
「グハッ!!」
「貴様ーーーッ!!!!!」
一気に怒りが爆発した真耶中尉が渾身の一撃をタケルの顔面に叩き込む!!
「貴様が…貴様が…冥夜様を……ッ!!!!!」
タケルの首筋を左手で鷲掴みにし、狂ったようにタケルの顔面を殴り続ける真耶中尉

「や…やめなさいっ!!
止めるのです、真耶さん!!」
「貴様のせいで……貴様のせいで…冥夜様は…!!!」


悠陽殿下の言葉すら届かず、『殺意』を持ってタケルを殴り続ける真耶中尉

「駄目ですっ!!このままではタケル様が……死んでしまいますっ!!」

「殿…下…?」
身体を張って真耶中尉を止める悠陽殿下
その際に正気に戻る真耶中尉…
「良いんだ……止めなくても良いんだ……」
「しかし、このままではーーー」
『死んでしまう』ーーーー
そう口にする前にタケルに頭を優しく撫でられる悠陽殿下

「オレは許せないーーー
幾ら『元の世界』に帰り、記憶を失っていても……
こんな自分を『愛してくれた』冥夜を…殺し…その罪を『忘れた事』を……」


「えっ…冥夜様が……貴様を…?」
タケルの言葉を聞き、ピタリと反応する真耶中尉ーーー

目の前の男は少なくともーー
自分の利益や保身の為に仲間を裏切る者ではないーーーー
むしろ、自分が何でも背負い込むタイプに見えなくも無いーーーー
「………白銀武
『冥夜様の死』を詳しく教えろ…」
「ハイ…」

タケルは機密情報(凄乃皇等)の事は伏せながら話す……





桜花作戦時ーーー
遂に『あ号標的』のいる間まで辿り着いたタケル
だが、しかし…『あ号標的』の攻撃により、『決戦兵器(凄乃皇)』の行動を封じ込め、幼なじみの純夏や同じ搭乗者の霞まで『あ号標的』により、気を失っていた

だが、タケル達の瞬間に、『紫の武御雷』に搭乗していた冥夜がタケル達を救い出すものの、『あ号標的』には適わず、触手攻撃により、武御雷ごと、決戦兵器に貼り付けられる
S11の自害も封じられ、冥夜の全身に『あ号標的』の触手攻撃により『乗っ取られてしまう』のだった



「そん…な…」
絶句する真耶中尉
あまりの絶望的状況に言葉すら発する事が出来ない悠陽殿下
「そしてーー冥夜は……オレに『自分ごと、あ号標的にトドメを刺せ』と言ったんです……」

「ーーーーーッ!!」
なんて残酷な選択を選ばされたのだーー
自分を愛してくれた人物を『殺せ』と言われる絶望ーーーー
自分ならば……どうするのだろう…
真耶中尉は…残酷な選択に判断が出来ないでいた…
「そして……冥夜は言ったんです……
『御剣冥夜は最も愛したソナタの手で……殺して欲しい…のだ』…と…」


ガタリと跪いて戦意喪失になる真耶中尉…
あまりの真実に絶望し…力が抜けてしまう
「冥夜…様…」
「だから……オレは自分を許せないんです……
冥夜を……みんなの『幸せ』を守れず…自分だけ生き残った事に……」
涙をこらえながら、食いしばって語るタケル…
初めてタケルの『苦しみ』を理解する二人…
「…………」
言葉を発する事が出来ない状況になり、無言の時間が経つ……
「……………殿下…
話の続きはまた今度にしましょう…
時間ももう遅い……お休み下さい……」
「ハイ…わかりましたわ…」
苦痛な程空気が重くなる……
それから逃れるように話を中断する三人…
「…白銀武よ…しばらく待っておれ
殿下を寝室まで送って来る」

「ハイ…わかりました」部屋を出て、悠陽殿下を寝室まで送る……



そして……時間がしばらく経ちーーーーー
「失礼するーーーー白銀武?」

再び部屋に入る真耶中尉
しかしタケルからは言葉が出てこなかった
「白銀武ーーー気を失っていたか……」
真耶中尉の怒りの猛攻に気を失っていたタケル…
気を失っていたタケルの顔に『塗り薬』を塗り、湿布薬や絆創膏を貼り、治療する
「私はーーーー
この者の『苦しみ』を理解出来なかった…」
先程の出来事に深い反省をする
「この者とてーーー苦しみながらも戦い続けたのだ…
なのに…私は…怒り任せに暴れるだけ…」
タケルの『覚悟と贖罪』を知った真耶中尉…

ボコボコに腫れ上がるまで殴り続けた自分に深い後悔が真耶中尉の背中にのしかかって来た…


「月詠…さん…?」


腫れの痛みで起き出すタケル、そしてーーーー

「ん………」
「!!!?」

優しくタケルの唇に触れ合う真耶中尉の唇
予想外の出来事にタケルも驚愕する


「済まなかった…やり過ぎた…
コレは…私なりの『償い方』だ…だからと言って勘違いするなよ!?
…別に『恋愛感情』で唇を合わせた訳ではないぞっ!!」
顔を真っ赤にしながらも誤魔化す真耶中尉…


「…だから……自分を…許してやれ…」
優しくタケルの頭を抱え込んで慰めれる
優しく……豊満な胸にタケルの顔を少し埋める
「休むが良い……話は後日またしよう…」
「………ハイ…
スミマセン…でした……」
そのまま再び深い眠りにつくタケル…
今度はゆっくりと眠りにつけれるように…そっと休息を与える真耶中尉だった…



[20989] MUV-LUV ALTERNATIVE~三度目のループ第二話①
Name: 騎士王◆cd16c2d4 E-MAIL ID:a7bee6ac
Date: 2010/08/10 21:51
1998年・1月9日
「モグモグ……イチチッ…」


目が覚め、すっかり『朝・昼飯兼晩ご飯』になってしまったタケル
傷がチクチク痛みを感じながらも根性で食べる

「すっかり外が暗くなってやがる…
オレ…鈍ってるのかな…」


ちょっと不甲斐ない自分に反省するタケル
身体を鍛え直そうと考えたりする


(けど…1998年って事は…『光州作戦』や佐渡島や横浜にハイヴを建設した年だよな…)

モグモグと食事しながら考えこむタケル

(つー事は、この時はまだオレや純夏は無事に柊町で暮らしてるんだよな…)

この時『まだ生きてる自分や鑑純夏』を心配するが、『何か良い手無いかなぁ~…』と脳をフル回転させる


(…やっぱり『先生』に逢わないと始まらないか…悠陽に頼んでみるか…)


『歴史を変える』には『香月夕呼』という人物が必要だと考えを改めて思う

すると、丁度食事が終わると同時にドアからノックする音が聞こえて来る
「ハイ、どちら様ですか?」

「私だ」

すると真耶中尉が部屋に入って来た
「随分と寝坊助だな、もう晩だぞ?」
「グッ…面目無いです…」

反論が出来ないでいるタケルを見てクスリと笑う真耶中尉

「さて、今夜は殿下と斉御司様と密会をしてもらう
良かったな、白銀
まだ眠っていたら『拳』が飛んでいたかも知れぬぞ?」
「アハハハ…」
冗談には見えなかったタケルは苦笑いをしながら嫌な冷や汗をダラダラと滝のように流す…

「斉御司様には、一通りの話はした
勿論斉御司様は『半信半疑』で聞いてたがな」

「…『半信半疑』って事は『少し』は『信じた』って事ですよね…?」

タケルの問に『ああ、そうだ』と返答が帰って来る

「まず白銀の話の内容だが…
『嘘』にしては、内容が『突拍子過ぎる』
『嘘』をつくならば、もっと上手い『嘘』をつく
次に『妄言』の可能性だが…
『妄言』を言う奴が『俺を殴って下さい』などと言うのも変だしな…
それに『妄言』にしては内容が弱い
それに話の内容も『出来事と結果だけ』で『中身』を喋ってない…
これは『機密情報を隠蔽』を意味する事から『真実味』が有ると私は思う
…ついでに言えば、白銀がスパイや暗殺者の可能性も皆無
もし、白銀がスパイや暗殺者の類いならば…貴様はどうしようも無い程の『莫迦でマヌケな奴』だ…
故にこの案も消える」


「……なんか酷い言われようですね…」

素直に喜べないでいるタケルを見て『良かったな、死罪は免れたぞ?』と冗談を言う真耶中尉

「それに我々の目の前で『光と共に現れる』のだ…普通に考えれば有り得ない出来事だ
『未来から来ました』なんて事を言えば『多少』は信じてしまうぞ?」
「なんか複雑な気持ちですね…」


真耶中尉の説明を聞いて、だんだん落ち込んで来るタケル
「その真意を知る為に今回の密談が有るのだ
お二方に信用して貰うかは白銀次第だ」

「ハイ、わかりました…」

真耶中尉の言葉を聞き、覚悟を決めるタケル
その真っ直ぐなタケルの表情を見て、『フッ…』と笑みを浮かべる真耶中尉…

「さて、話も此処までだ
いい加減、服を着替えるんだ」
「服って……………………まさか…コレデスカ?」


ベットから離れた場所の小さな机の上に『斯衛軍の軍服(黒)』が用意されていた

「他に服が有るか?」

「ソウデスヨネー…」
仕方無しに服を着替えると……

「グハッ……似合わねー…」
鏡を見て素直な感想を言うタケル
「『馬子にも衣装』だな」
「んがっ!?」
真耶中尉の一言にショックを受けるタケル
「ホラ、さっさと行くぞっ!!」
そのままタケルの腕を掴み、悠陽殿下達の居る部屋へと向かって行った…



[20989] MUV-LUV ALTERNATIVE~三度目のループ第二話②
Name: 騎士王◆cd16c2d4 E-MAIL ID:a7bee6ac
Date: 2010/08/11 16:20
部屋を出て十数分後…
殿下達が待つ部屋の前に到着するタケル達

「ここだ、失礼無いようにな」

「ハイ」

「では行くぞ…
失礼します殿下、月詠真那中尉只今参りました」

頭を下げながら入室するタケル達
中では、殿下と斉御司大佐が待っていた
「ご苦労様です、真耶さん
ようこそいらっしゃいました、『タケル様』」
「…………?」

なんとなく悠陽殿下のセリフに違和感を感じるタケル

「此方に居る御方が、五摂家の一人である斉御司兼嗣様だ」


「私が斉御司家現当主であり、斯衛軍陸軍大佐の斉御司兼嗣だ
済まないが君の自己紹介をしてくれないかね?」

「ハッ、オレの名は白銀武と申します
歳は18です」

「ウム、元気の良い若者だ」

はっきりと返答するタケルに好印象を感じる斉御司大佐

「あと、此処には居ませんが、『もう一人』お呼びしてます
少々遅れますが直に来るでしょう」

「ハッ、わかりました」
悠陽殿下の会話に返答を返すタケル
すると斉御司大佐からタケルに話しかけて来る

「…ところで、月詠中尉からは話を一通り聞いたが…はっきり言えば突拍子過ぎて困惑してる状態だ…」
「…スミマセンでした」

困惑している斉御司大佐に申し訳無い気分になり、素直に謝るタケル

「あの…質問の前にスミマセンが…こちらからひとつ殿下に質問して宜しいでしょうか…?」


「私にですか?
…勿論宜しいですが…兼嗣殿…宜しいでしょうか…?」

「ハッ、殿下にお任せします」

「有り難う御座います」
殿下と斉御司大佐に深々と頭を下げるタケル

「殿下…何故オレの事を『タケル様』とお呼びになるのでしょうか…?」

「…そうですな、その事に関しては、私も月詠中尉も気になる所です」

「殿下は…過去に白銀に会った事が有るのですか…?」

タケルの質問ーーー
『タケル様』と呼ぶ事に違和感を感じていたタケル達
「オレの事を『タケル様』と呼ぶのは元の世界の殿下…御剣悠陽とメイド長の月詠真那さんと月詠真耶さん
…あとは3バカの巴・戎・神代の三人…
この六名のみがオレの事を『タケル様』と呼んでました
…しかし、二度目の世界では、殿下はオレの事を『白銀』とお呼びになってました
この世界で出逢って間もないオレに『タケル様』と呼ぶのは何故でしょうか…?」

先程の違和感ーーー
悠陽殿下の『タケル様』が気になっていたタケル
何故出逢ったばかりなのに『タケル様』と呼ばれるのか…悠陽殿下に問いただす


「そうですね…わかりました
実はタケル様と出逢ったあの時ーーー
光と一緒に現れたタケル様を見た瞬間ーーー
私の頭の中に見覚えの無い『記憶』が流れて来ました…」


「記憶…ですか…?」

「ハイ…
見覚えの無い公園で『幼い姿の私と冥夜とタケル様』が砂場で遊んでた記憶と…
今ぐらいのタケル様と同じように成長した私が仲の良い関係になりながら、冥夜や御親友達に囲まれてる記憶が流れて来ました…
その際、私が『タケル様』と呼ぶシーンが流れてきて、あの時はつい呟いたのです…」

「記憶の流出…もしかして…」

悠陽殿下の説明を聞き、ある仮説が浮かぶ

(もしかすると…元の世界の悠陽の記憶がループの際流出して、この世界の悠陽に記憶が流れて来たのか…?)

「白銀、何かわかったのか?」

考え込むタケルに真耶中尉が訪ねてくる
「いや、恐らくは『元の世界の御剣悠陽の記憶』が流出して、この世界の殿下に流れて来たんでしょう
原因は…恐らくはオレのループによる事だと思います」

「そうか…
では、殿下のお身体には影響は…?」
「無いでしょう
ただ、莫大な量の記憶が流れて来たのなら、強い頭痛は来ますが、今の内容だけの記憶量ならば、頭痛も無いでしょう
有ってもチクッとする程度です」
「そうか…それを聞いて安心した」
タケルの説明を聞いて一安心する真耶中尉

「なる程…
しかし、何故今でも『タケル様』とお呼びになるのでしょうか、殿下?」
ふと、疑問に思った事を質問する斉御司大佐
するとーーー
「…何故だが、『タケル様』と呼びたい気持ちになりましたので、つい…」

「「「えっ?」」」

「大丈夫です、他の者が居る時は『白銀』と呼びますのでご安心を
それ以外の時は『タケル様』とお呼びますので…」

「「「ええっ!?」」」

悠陽殿下の反応に思わずハモる三人

「で、では斉御司大佐
な、何かご質問が有りませんか?」

「ウ、ウム……では…」
なんとかこのビミョーな空気から出ようと話題を変えるタケル
斉御司大佐も戸惑いながら、タケルに質問をする「白銀武よ、貴殿は『未来』から来たと聞いたが…
済まないが、何か『納得出来る証明』を提示してくれないかな…?」
「…と、言いますと…?」

「君が『別の世界』から来たという話は信じよう…
現に我等の目の前でいきなり光と共に現れたのだ…その事に関しては信じよう
だが、『未来から来た』というならば、我々が信ずるに値する事を教えて欲しいのだ…」

「信じる事に値する内容か…」


うーん……と腕を組ながら考えるタケル
すると…ふとある事を思い出す

「そういえばーー
『光州作戦』って聞いた事ありますか…?」

「聞いた事も何も、今現在『光州作戦』は発動してるぞ?」

「ええっ!?」

斉御司大佐の一言で驚愕するタケル

「大変だっ!!
今すぐ手を打たないと大変な事に…!!」

「どういう事だね…!?」
「実は、この光州作戦は、後に『光州作戦の悲劇』と呼ばれる事になり、結果…『彩峰中将』が死罪となり、後に起きる帝都での『12・5事件』のクーデター事件の引き金にもなるんです!!」

「な…なんだとっ!!」
タケルの語る『歴史』を聞き驚愕する三人


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