『はよ船に乗り込みぃ!!こんまま死んだら魂ごと消えてまうで!!
クルーは出港準備!!はよせぇ!!結界ブチ抜かれたら沈むぞ!!』
島に響くのは爆撃音と逃げまどう人々の悲鳴
そしてスピーカー越しの男の怒鳴り声がそれに負けじと響く
それを運良く聞きつけることが出来た人々は逃げるのを止め群がるように港に浮かぶ数隻の軍艦へと駆けだしてくる。
「クソッ!!何で今日に限ってこないに死者が多いねん!!現世で何があったゆーんや!!」
マイクを乱暴に切り大声で現状に対する不満をブチ撒けながら部下の報告待つ。
ふと窓から外をみればその眼下には争いあって船に乗り込む人々の姿が目に映った
「まるで地獄であった蜘蛛の糸の事変やなここはまだ入り口にすぎん三途の川やゆ~んに・・・。
イスラムやかキリストやか知らんが好き勝手やってくれよるのぉ・・・。」
怒りで殺気が肉付きの良い体からこぼれでる。
それは艦橋の温度が少し下がった気さえする程だった。
「艦長!!出港準備整いました!!」
窓から目を放し声がした方を見ると鬼火がゆらゆらと揺らめいている。
「ご苦労さん、すぐに出港する。結界破れる前に離脱すんで、対岸にもこの騒ぎは伝わっとるから、もうちょいしたら援軍がくるはずや。」
「まだ乗り込んでいない者達はいかがするのですか?艦長!!」
「捨て置く、結界強度が7割切った、このままここに停泊しとったら撃沈すんのが関の山や、なら三途の川の渡し守としての任務を果たすのが最上や。あと艦長言うな渡し守さん言え。」
「了解いたしました。ハッチを閉じます。出港準備完了、ご命令を渡し守殿。」
「出港!!全速でここを離れる!!」
巨大な船がゆっくりと動きだす。その周りにいた人々が口々に助けを求めるが無情にもその願いは叶わず船は止まらずに港を離れていった。
「明日の目覚めはわりぃな・・・こりゃ。で、本部からの通信はあったか?」
「強力なジャミングがこの島の付近一帯に掛けられております。しばらく通信は不能かと・・・。む?内部に侵入者です。数は・・・30、姿からして恐らくキリスト過激派の工作員かと・・・。」
「ちぃ!!確実に沈めに掛かってきとるな、まぁ、この船、迷宮みたいになっとるから迷ってくれるやろ。ナビゲートと操作宜しく船魂さん。舐めた真似晒してくれたやつらに鬼の怖ろしさ、味わって貰おうやないの。」
腰に掛かっている日本刀をポンポンと叩き船橋を後にする。
『敵勢力、5グループに分かれて散開・・・。!!?馬鹿な!?渡し守殿急いでください!!奴らこの船の重要地点に真っ直ぐ向かって来ています!!』
頭に直接響くように先ほどの鬼火の声が聞えてくる。
「場所は!?」
『動力部、船橋、船倉、防護結界発生装置、火薬庫。の五つの地点です。』
「こっちに来とる奴ら瞬殺してすぐに向かう!」
敵を殲滅すべく神速をもって駆け出す。
『対ショック態勢!!ミサイル着弾まで後3、2、1、今!!』
外でミサイル数発が防護結界に着弾して爆発する。その余波を受けて船体がグラリと揺れ動く。
「この程度の揺れなんぞ屁でもないわ!!奴らの場所は!?」
『現在停止中、目標、突き当たりのドアの向こうです。』
「一、二、三で開けろよ!!」
そう言って男はドアから少し離れたところで止まり鞘からいつでも日本刀を抜けるように構える。
『敵勢力行動を再開。』
足に力を入れいつでも駆け出せるように準備する。
「一、二、三!!」
合図と共にドアが豪快に開かれその向こうにいる一見ただの一般人に見える集団へと一足で間合いを詰める。
「撃・・・て?」
各自着ているスーツやコートの下から銃火器を出して構えるがそこにはすでにターゲットは居なかった。
「遅すぎやな~、あくびが出るわ、ほな急いでるんでさいなら。」
「「「「「!?」」」」」
後ろから聞えてきたその場に似合わない間延びした声に驚愕して身体を反転させて銃を構えようとするが・・・、動いたのは上半身だけで下半身はピクリとも思った通りに動くことはなく、膝を折って下半身だけが倒れていった。
「そこで死んどき。」
男は日本刀を血振るいして鞘に収め、その場を後にし次の場所へと向かう。
「此方・・・A班、作戦・・・失敗、これより・・・自爆する。」
「了解、神のご加護が有らん事を。」
閃光が通路を染めた。
爆音が鳴り響き船が悲鳴を上げるように軋む。
『グァッ!!』
「何があった!?」
『先ほど切った者達が突如として爆発・・・・船橋へ向かう一本道で火災が発生しております・・・ッグァ』
「止め刺しときゃよかった、クソ!!すまん、ワイの手落ちや。」
『謝る暇があるのでしたら・・・、私を壊す輩を殺してください・・・、私の渡し守さん・・・。』
「ッ!!りょ~かい!!」
口端を吊り上げ獰猛な笑いを浮かべて獲物の元へと駆ける。
狩りが始まった。
「コイツで最後か・・・、よぉ、手間掛けさせてくれたやないの、ん?」
そう言って倒れ伏している工作員のわき腹を蹴り上げて起こし頭を掴んで持ち上げる。
「ぐぅぁぁぁぁあぁ!!」
万力のごとく締め上げられる頭に奔る激痛に悲鳴を上げる工作員。
「ほれ?なんでワイの船沈めに来たんか吐けや、結局殺した奴は全員爆発しよったからの、ウチんとこの姫さんが怒り心頭になっとんねんよ。ちなみに生かさず殺さず苦しめるんはウチんとこが一番って知ってるやんな、このまま地獄に連れてかれんのと、ここでゲロッて楽になるか・・・どっちか選べや。」
「くっ、化け物めぐぁぁあああああぁぁあ!!」
「ほれほれ、その気になりゃぁお前の頭なんぞ卵割るより簡単に割れるんやから、無駄口叩かんとさっさと吐く吐く。」
足をじたばたさせて腹を蹴るが男はそれに全く堪えた様子もなくヘラヘラと笑いながら徐々に手に力を込めていく。
「ぐぅ・・・」
痛みに抗いきれずについに工作員は抵抗を止めて大人しくなる。
「お?なんや?よ~やくゲロるつもりになったんか?」
「まさか、・・・タイムリミットだ。クタバレ化け物。」
その言葉の直後に工作員の身体が爆発しその爆発に男も巻き込まれる。
「結構・・・やる・・やん、利き腕一本持ってかれたわ。」
爆発地点にど真ん中にいた男は流石に無傷とはいかず、右腕が肘から先が失われていた。
『ご無事・・・ではない様ですね。』
「あぁ、この程度じゃワイは死なんよ、安心し。」
『・・・どうやら奴らは本気であなたの首が欲しいようですよ?最強の鬼の酒呑童子さん』
「その名前は棄てたんや、呼ばんといて、ワイはただの三途の川の渡し守さんや。で?なんでそないなことがわかんのや?」
『私も年貢の納め時みたいですね、外に奴らの爆撃機、戦闘機が多数・・・すでにロックされてます。』
「一難去ってまた一難、しかも今度は回避不能ってか?こんな三途の川のど真ん中でやってられんわ。」
男は諦めたようにどっかりと壁を背にしてズルズルと通路へ座り込む。
爆撃が始まったのか外では爆音が鳴り止むことが無く、船が爆発で乱れた波により大きく揺れる。
「なぁ、姫さん、お前とはホンマ短いようで長い付き合いやったわ。楽しかったで。」
『あなたとは私が目覚めてからの付き合いですが、悪くなかったですよ。』
爆発音に混じって外で何かが罅割れるような音が聞えた気がした。
「なぁ、知っとる?船に運ばれてる途中で三途の川に落ちたら生まれ変われるっていう話、まぁ記憶無くなってさらに感情のどっかが壊れるらしいけど。まぁワイが生まれ変わったらそいつ苦労するやろなぁ、かなり好戦的な性格なんで、ワイも昔それで失敗したからなぁ。っと生まれ変わるんやったらコイツも持ってかんと。」
ベルトと半分焦げた制服で自分の手に自分の愛刀を縛り付ける死んでも放さないようにと。
『そうですね、暴れるだけ暴れて退治されたらしいですねあなた、でも本当だったらいいですねその話、そしたら現世で人に生まれ変わってあなたと・・・』
外で何かが砕け散った音がハッキリと聞え、爆撃の音が止んだ。
「ハハッ!!そりゃいいな、じゃぁ、もし生まれ変われることがあるんやったら。」
『生まれ変われたのならば・・・』
(親愛なる私の相方)
「『また会いましょう、Dear My Pertner』」
直後、爆炎に呑まれどちらの意識も途絶えた。
どうも作者です
はて?学園黙示録を書くつもりだったんですが・・・、
新しい転生のしかたを考えたらあの世がハイカラになってた何を言ってるのか俺にもわからねぇ、(ry
まぁ、次話からは立派に学園黙示録の世界に突入するさぁ~
本編よりかなり昔からのスタートだけどね♪
まぁ、こんな作風ですが気に入ったら読んでやって下さい。