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【プロ野球】中田 4三振ショー 5戦連発ならずも魅せた2010年8月11日 紙面から ◆日本ハム3−1ロッテ三振でも“翔タイム”だ!! 日本ハム・中田翔内野手が10日、ロッテ戦に「7番・一塁」で登場。史上最年少の5試合連続弾を狙ったが、アーチをかけることはできず。代わりに4打席連続三振をくらった。しかし、巨人・長嶋茂雄の伝説のプロデビュー戦を彷彿とさせるフルスイングの三振に周囲は称賛。長嶋伝説と怪物伝説がクロスする4三振となった。 たかが4打席連続三振と言うなかれ。収穫はドッサリだ。この日は本塁打どころか、安打も打てなかった中田。しかし、迫力満点のフルスイングは、何年もプロの世界を生きてきた“先輩”たちをすっかり魅了した。 2回の第1打席は見逃し三振だったが、第2打席からの3連続三振はすべてバットを振って喫したもの。変化球に対応できなかったが、覚せい以前に顕著だった“逃げ”の姿勢はない。「ファイター」という言葉がピッタリな果敢に投手を攻める姿だった。 「情けないわ」と口を開いた中田。その目は伏し目がちだ。「3打席目まで同じパターンで三振したのが一番、情けない…」と本人は反省の表情をみせた。しかし、先輩たちの評価は違った。 「翔は4三振をしたけど、かえって大物と感じた」と語るのは稲葉だ。1800本近い安打を放った男は中田の三振にうなっていた。結果を求めてバットを当てにいかず、自分のスイングを貫いたからだ。 4打席連続三振といえば思い出されるのが、金田正一に果敢な勝負を挑んだ長嶋茂雄のデビュー戦。三振でもファンを沸かせた伝説の一戦となっているが、同じ匂いを感じたのか稲葉は「変に当てるより、ブンブン振る方が気持ちいい!」と絶賛。第4打席で対戦した17年目のベテラン・ロッテの小野も「結構、楽しんで投げられた」と同意する。伝家の宝刀・シュートを惜しげもなく投げ込み続けたのも、中田の力を認めているからこそ。「将来が楽しみだね」。長嶋伝説ならぬ、怪物伝説のこれからに思いをはせた。 梨田監督も「(本塁打は)そんなに簡単なものじゃないよ」と中田を責めようとはしない。それどころか「打ち損じたものにも間違えば(スタンドに)いっていたものもある」と可能性を感じたもよう。「今日は特に勉強させてもらった」といいながら球場を後にした中田。それにしても、4試合連続本塁打の次は4打席連続三振とは、何と思い切りがいいことか−。ミスターばりの「何かをやってくれそうな男」の今後が、楽しみだ。 (川越亮太)
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