宮崎県は10日、家畜伝染病「口蹄疫(こうていえき)」による畜産業などの県内経済損失額が推計約2350億円に上ることを明らかにした。県が損失額を示したのは初めて。
畜産業関連は、家畜の処分頭数からみて、出荷額は例年より275億円減ると推計。これが5年で回復すると仮定して試算し、畜産関連産業への生産誘発額や操業停止となった食肉加工業への影響も含めて損失額は約1400億円とした。
イベント中止や観光客減少による卸小売業や飲食業、宿泊・サービス業、運輸業の損失額は約950億円。宮崎商工会議所が約270事業所にアンケートした売り上げ減少率などから試算した。
一方、県は口蹄疫の感染ルートの解明や防疫の課題を調べる「県口蹄疫対策検証委員会」を月内に設置する。東国原英夫知事は記者会見で「農林水産省の検証委とも連携するが県独自で調査する責任がある」と述べた。
委員は市町村や農業団体代表、河野俊嗣副知事など数人。庁内の調査チームが職員や関係機関に聞き取りなどをして、ワクチン接種、殺処分などの対応を振り返り検証委に報告する。検証委は10月にも報告書をまとめ、危機管理マニュアルの作成や国への提案に反映させる。
=2010/08/11付 西日本新聞朝刊=