宮崎県の東国原英夫知事は10日の定例記者会見で、家畜の伝染病、口蹄疫(こうていえき)の発生により、畜産やその関連、さらにその他の産業が、今年を含む5年分で計2350億円の経済的損失を受けたとする試算を初めて明らかにした。県は今後、これらの試算をもとに国へ復興支援を要望する。
県は、殺処分された牛と豚(計約28万9千頭)の出荷額を、過去の農業産出額から275億円と推計。今後5年間で段階的に回復するとして、その間の畜産業の損失を計825億円▽飼料など関連産業478億円▽食肉加工業者89億円▽卸・小売り、飲食、宿泊、サービス、運輸の各業種計950億円、とした。
一方、知事は記者会見で、今月中に口蹄疫への対応を検証する県独自の検証委員会を設置することや、口蹄疫ウイルスが消滅したかどうかを、家畜を使って確認する作業を始めることも明らかにした。
検証委には国の関係者は含めない。10月をめどに報告書をまとめ、防疫態勢に役立てる。知事は「『国の聞き取りが不十分』と(の声が)地元農家から出ており、(国による)ずさんな調査で、県とか農家に責任があったというような結論づけはして欲しくない」と話している。
ウイルスの消滅確認は、今月末から、まず都城、日向、えびのの3市の農場に牛や豚を入れて感染しないかを確認する。