日韓併合100年:両国知識人の反応
韓国「併合の無効性反映できず残念」
日本「図書返還は天皇が承認したという意味」
日本政府が韓国強制併合100年に当たり出した首相談話について、韓日両国の知識人らは「以前より発展した内容が盛り込まれている」と評価した。しかし、韓国側では強制併合条約の違法性を認めていないという今回の談話の「限界」が指摘されているのに対し、日本側は予想以上に踏み込んだ内容が盛り込まれている点を強調するなど、微妙な見解の違いも明らかになった。
今年5月、韓日両国の知識人による「併合条約源泉無効声明」を主導したキム・ヨンホ柳韓大学総長は「慰安婦問題・独島(日本名:竹島)問題・教科書問題などの根底にあるのが併合条約の違法・無効問題なのに、これに対する言及がない。だが、『当時の韓国の人々は、その意に反して行われた植民地支配によって、国と文化を奪われ、民族の誇りを深く傷付けられました』という表現で、併合の強制性を認めたことは評価に値する」と述べた。
鄭在貞(チョン・ジェジョン)北東アジア歴史財団理事長は「強制併合100年を迎えるに当たり、首相談話が出たこと自体に意味があり、遠回しにでも併合の強制性に言及したこと、談話にとどまるのではなく、『朝鮮王室儀軌』返還や在サハリン韓国人支援などに言及したことは一歩前進」と語った。しかし、「韓国側が強く主張していた強制併合の違法・無効性を反映できなかった点は残念」と指摘している。
一方、日本側の「併合条約源泉無効声明」の中心人物である東京大学の和田春樹名誉教授は「『政治的・軍事的背景の下、(当時の韓国の人々の)意に反して行われた植民地支配』という表現が重要だ。それでは、併合条約そのものは何だったのかという疑問につながるしかなく、今後、この問題に関連する論議の糸口が確保された」と考えている。和田教授は文化財返還についても「宮内庁所蔵図書の返還を決めたのは非常に意義が大きい。宮内庁にある図書を返還するということは、『天皇』が承認したという意味だからだ」と言った。
関西学院大学の平岩俊司教授は「民主党政権が直面している現在の状況から見れば、予想より踏み込んだ内容。ただし、1965年の韓日基本条約(の付属協定である対日請求権)が再解釈されては困るという点、併合条約の法的論争(国際法上、違法かどうか)に飛び火しては困るという点などに留意したものと見られる」と話している。
東京=辛貞録(シン・ジョンロク)特派員
李恒洙(イ・ハンス)記者
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