日韓併合100年:菅談話、日本の反応は賛否分かれる

日本社会の評価は

韓日の協力で中国をけん制

戦略的配慮も下敷きとなっている模様

 菅直人首相の「8・10談話」は、日本国内の政治状況を考慮すると、予想を多少上回る内容を含んでいる-というのが、大方の評価だ。昨年9月に発足した民主党内閣は、過去の歴史と韓日関係について「自民党とは違う」と自ら語ってきたが、今年7月11日の参議院選挙での惨敗以降、政治的な足場が狭まる状態になっていたからだ。

 韓国政府は当初、日本政府に対し、▲併合100年をそのまま見過ごすのは難しいこと▲談話を出すのなら「村山談話プラスアルファ」が必要だということ-を粘り強く強調してきた。「謝罪」という言葉にとどまってはならず、「行動」が必要だということも強調してきた。それでも、謝罪の度合いや具体的措置が含まれるかどうかについて、大きな期待をしない、という雰囲気だった。

 しかし「菅談話」には、併合条約の不法性を認めないなど「根本的限界」はあるとはいえ、今後幾つかの措置や論議に結び付く点を秘めた内容が盛り込まれている。▲植民地支配の強制性を認めた点▲文化財の一部の「引き渡し」が文書化された点-などがそれだ。

 自民党などの保守政党や右翼陣営は、すぐにこれらの点を挙げて反発した。右翼的な傾向が強い安倍晋三元首相は、「文化財返還は、今後さまざまな個人補償問題などに飛び火しかねず、禍根を残した」と批判した。自民党を離脱した議員らが結成した「たちあがれ日本」の平沼赳夫代表も、「議員や世論の反対を無視した結果で、甚だ遺憾」と語った。また、右派寄りの産経新聞は、「(今回の談話を主導した)仙石官房長官の暴走は、政権を揺るがしかねない」とまで書いた。民主党内部からも、一部から反発が出ている。こうした反発の背後には、「いつまで韓国に謝罪しなければならないのか」という一般世論がある。

 こうした反発が予見されていたにもかかわらず、菅首相、仙石由人官房長官、岡田克也外務大臣、前原誠司国土交通大臣ら民主党幹部は、談話を推し進めた。「潜在的」首相候補とされる前原国交相は、「100年に1度は今年しかない。菅首相がイニシアチブを発揮し談話を発表したのは時宜にかなってよかった」と語った。また、鳩山由紀夫前首相、小沢一郎前幹事長ら「知韓派」も、今回の談話の発表を側面から支援したという。

 菅首相らが、反発を承知で一歩踏み出したのは、急変する東北アジア秩序を勘案した戦略的配慮に基づいている-というのが大方の分析だ。このところ日本では、急浮上する中国に対する懸念と並び、韓国の立場について再評価がなされる雰囲気にある。

 岡田外相は先月、メディアのインタビューで、「日韓両国は、政治・経済だけでなく、安全保障や防衛分野でも協力を考えなければならない段階に来ている」と語った。菅直人首相が10日の記者会見で「世界的激動期に、日米韓3カ国が東アジア地域の安定を構築するのは、大きな意味がある」と語ったのも、同じ流れで読み取ることができるようだ。

東京=辛貞録(シン・ジョンロク)特派員

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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