日韓併合100年:菅談話、併合の法的無効には言及せず
植民地支配の強制的性格を認定
総督府が強奪した書物を返還
併合条約の法的無効には言及せず
「3・1独立運動などの激しい抵抗にも示されたとおり、(中略)当時の韓国の人々は、その意に反して行われた植民地支配によって、国と文化を奪われ…」
菅直人首相は10日、100年前の1910年8月29日の併合条約発効で始まった植民地支配が、韓国人の意思に反して強制的に行われたということを認める内容の談話を発表した。また、談話には、「朝鮮総督府を経由してもたらされ、日本政府が保管している(中略)図書」を、「お渡ししたい」という内容も盛り込まれた。
菅首相は、植民地支配の性格について、「3・1独立運動などの激しい抵抗にも示されたとおり、政治的・軍事的背景の下、当時の韓国の人々は、その意に反して行われた植民地支配によって、国と文化を奪われ、民族の誇りを深く傷付けられました」と述べた。
さらに続けて菅首相は、「痛みを与えた側は忘れやすく、与えられた側はそれを容易に忘れることはできないものです。この植民地支配がもたらした多大の損害と苦痛に対し、ここに改めて痛切な反省と心からのおわびの気持ちを表明いたします」と語った。
「痛切な反省」「心からのおわび」などの表現は、1995年の「村山談話」と同じものだが、植民地支配が強制だったということを認めた部分は、今回新たに付け加えられた。とはいえ、併合条約そのものの法的無効に関する部分は、依然として盛り込まれなかった。
また菅首相は、文化財返還問題について、「日本が統治していた期間に朝鮮総督府を経由してもたらされ、日本政府が保管している朝鮮王朝儀軌等の朝鮮半島由来の貴重な図書について、韓国の人々の期待に応えて近くこれらをお渡ししたいと思います」と表明した。
これは、『朝鮮王室儀軌』(朝鮮王朝時代に、王室や国家の重要な行事の内容を整理した記録)、『帝室図書』(朝鮮の王室図書)など宮内庁が所蔵している書物だけでなく、全国の国公立博物館・図書館などに散在している韓国の書物のうち、総督府が持ち出したものはすべて返還するという意味だ。儀軌などの返還については、今年の年末ごろに最初の成果が表れる可能性が大きい。しかし、返還の対象は「図書」に限られていることから、他の文化財の返還をめぐる論争は続くものとみられる。
東京=辛貞録(シン・ジョンロク)特派員
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