「マリナーズ3‐1アスレチックス」(9日、シアトル)
マリナーズは9日(日本時間10日)、チームの不振を理由にワカマツ監督、元西武のバークレオ・ベンチコーチ、アデアー投手コーチの解任を発表した。前日までの戦績は42勝70敗。シーズン2カ月を残してチームを襲った激震。在籍10年で8人目、ここ4年3回目の途中交代にイチロー外野手(36)は複雑な胸中を吐露。解任発表後に臨んだアスレチックス戦では4打数1安打だった。
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2コーチも… 寂しさに胸が締めつけられた。試合前に伝えられたワカマツ監督ら首脳陣の電撃解任。チーム内に走った激震にイチローは「みんないなくなっちゃうんだな、と思いましたね」とつぶやいた。
開幕から波に乗れなかったチーム。5月にコックレル打撃コーチが解任、6月にはあこがれの存在だったグリフィーが引退。7月にはエースのリーに続き、今月に入って親友のスウィーニーがトレードされた。そして、この日は、球団が6日前に「続投」を明言したばかりの監督だった。
前年から24勝を積み上げた昨季を経て、臨んだ就任2年目の今季は9年ぶりのプレーオフも期待された。しかし、5月1日以降、地区最下位に低迷した。「去年、一緒にやって長い間やることになるんじゃないか、と想像しましたからね。それがこういう形になったわけだから…」。消えた語尾にイチローの落胆ぶりがうかがえた。
試合中のベンチ内で言い争いがぼっ発するなどのトラブルに見舞われながらも懸命にタクトを振り続けた指揮官。「(監督は)感情的になることはほとんどなかった。それが僕にとっては心強かった。どんなときも変わらないことが」。フィールドに飛び出す元気をもらったのも事実だった。
前日までの112試合。貧打にあえぐ打線を目まぐるしく変えたワカマツ監督だったが、「1番・イチロー」だけは動かさなかった。2人の間に存在した「信頼」という名の絆。第1打席で惜別の中前打を放った。