日韓併合100年:菅談話、韓国側の視点を強調か
「痛切な反省」以上の表現の有無にも注目
日本のマスコミが9日に報道した日本政府の「強制併合100年談話」の柱は二つだ。まず、植民地支配に対する謝罪に関しては、1995年の「村山談話」を踏襲するにとどまった。しかし、朝鮮王朝時代の国家行事を文書や図で記録した文化財「朝鮮王室儀軌(ぎき)」など「韓半島(朝鮮半島)由来の図書」の引き渡しを具体的に表明し、ひとまず「限られた誠意」を示したと評価されている。10日の談話に含まれる返還図書に韓半島から渡った図書のうち宮内庁以外の国家機関のものまで含まれるとすれば、その意味は大きく異なることになる。
過去の歴史に対する謝罪と関連しては、「痛切な反省と心からの謝罪」が表明される見通しだ。このまま発表されれば、村山談話の通りとなる。実際に発表される談話には細かい表現が追加されるとみられるが、「謝罪の精神」を繰り返しただけでは、過去を乗り越えられなかったとの評価を生むことになる。特に植民地支配の根拠となった強制併合条約が強制されたものであり、調印とは無関係に無効だとする韓日知識人の主張が、日本のマスコミ報道通りに一切含まれないとすれば、「100年談話」の意味はかなり薄れてしまうことが予想される。
これは自民党など保守勢力や与党民主党内の一部の反発など、日本国内の政治情勢を考えれば、ある程度は予想されたことだ。国内情勢を外交関係に逆利用したとの批判を受ける可能性もある。
やや異なる評価もある。読売新聞は9日、日本政府関係者の話として、「菅首相の談話は『強制的に国を奪われた』という韓国側の観点をさらに強調し、韓国人の感情に配慮する方向で調整されている」と報じた。村山談話の枠組みは維持するが、細かい表現で謝罪の心を韓国国民に伝える方策を探るという意味と受け止められている。菅首相は10日の談話発表前に閣議を開く予定で、世論の動きを見ながら、最終的に文案を調整する可能性もある。
談話で宮内庁所蔵の朝鮮王朝の書籍を中心とする文化財の返還を表明したことは、言葉だけでなく、行動へと範囲を広げたという点である程度の評価は可能だろう。これは個人所有の文化財ではなく、国家所有の文化財がどこまで返還範囲に含まれるかによって、評価が違ってくる部分でもある。サハリン強制徴用者への支援、遺骨返還協力などに再度言及したことも、今後の行動によっては、具体的成果が期待できる部分でもある。同時に、サハリン強制徴用者以外の数多くの強制徴用者、被爆者に対する個別補償問題を今後どのように取り扱っていくかも注目される部分だ。
発表時期が10日に決まったのは、光復(植民地解放)65周年を迎える8月15日と併合条約の締結日である22日、公布日である29日を避ける狙いがあったとみられる。今回の談話には、北朝鮮に対する個別の言及はないとされる。これに関連し、共同通信は「強制併合100年を迎え、韓日間の歴史認識に対する論争を一段落させ、核、ミサイル、拉致を中心として、北朝鮮に対する韓日両国の共同対処を強化する意図がある」と伝えた。
東京=辛貞録(シン・ジョンロク)特派員
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