エスカレートする北の挑発行為(上)

西海(黄海)での砲撃に続き、「本当の戦争を思い知らせる」などと脅迫

後継者体制構築に向けた党代表者大会を前に、軍などの内部統制に活用か

「核抑止力に基づいた報復」などの発言

米国を念頭に3回目の核実験が行われる可能性も

 北朝鮮は8日に韓国のイカ釣漁船「テスン号」を拿捕し、9日には西海(黄海)北方限界線(NLL)の南側に向けて砲撃を行ったが、10日にも労働新聞社説で「本当の戦争を思い知らせる」などと改めて挑発に乗り出してきた。これについて韓国政府関係者は「天安事件後、北朝鮮はしばらく落ち着いていたかのように見えたが、最近になってまた挑発を開始したようだ」とコメントした。

 現在、北朝鮮は国の内外において新たな挑発が必要な状況となっている。後継者体制構築に向けて1つのヤマとされる党代表者大会がわずか1カ月後に控えているからだ。軍部をはじめとする国内を統制するにあたっては、軍事的に緊張した雰囲気を高めることが何よりも効果的な手段となる。とりわけ8月8日に韓国で行われた内閣改造で、天安問題に関連する北朝鮮制裁において中心的な役割を果たした外交・安全保障関連部処(省庁)の閣僚が全員留任したことから、韓国国内に改めて動揺を起こす必要も出てきた。治安政策研究所のユ・ドンリョル研究官は「北朝鮮は先日の統一地方選で『戦争か平和か』と脅迫して成果を挙げたと考えている。これに味を占めたこともあって、当分は戦争などに言及しながら脅迫を続けそうだ」と述べた。北朝鮮メディアも最近は毎日のように「戦争」という言葉を使っている。李明博(イ・ミョンバク)政権からコメや肥料を引き出すのが難しいのであれば、「戦争を起こす」などといった脅迫を続け、韓国国内での対立をあおるか、あるいは韓国の対北朝鮮政策が変るように圧力を加えることが、自分たちにとってプラスに作用すると判断したということだ。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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