【社説】北の挑発より危険な韓国軍の迷走

 合同参謀本部は10日、北朝鮮が9日に行った約110発の海岸砲砲撃のうち10発余りが、西海(黄海)北方限界線(NLL)を南に1-2キロ入り込んだペンニョン島北方の海域に着弾したと発表した。合参は、「北に対し、直ちに挑発行為を中断せよという警告通信を3度行い、その後さらなる挑発がないため、対応射撃は行わなかった。軍は作戦例規と交戦規則に従い、通常通り対応した」と語った。

 しかし合参は、今年1月に北朝鮮がNLLに向け400発余りの砲撃を行った際、「NLL以南に砲弾が落下した場合、直ちに対応射撃を行う」と言っていた。また韓国軍上層部は当時、砲撃で韓国の船舶が被害に遭ったり、砲弾が陸地に落下した場合、北朝鮮側の射点に砲撃を加え、北の砲撃1発に対し3発を撃ち返すとも言っていた。北朝鮮は、今年1月の砲撃の際は事前に航行禁止区域を宣言したが、9日の砲撃は予告なしに行われた。北の砲弾がNLLを越え、南に数十-数百メートルどころか1-2キロ以上も入り込んだ海域に着弾したのは、そこを狙っていたからだと見なければならない。北朝鮮による今回の海岸砲砲撃は、明白な軍事的挑発行為だ。

 韓国軍は「即時対応射撃」を公言していたが、いざ実際の状況になってみると、行動に移すことができなかった。合参は9日の夜、「北の砲弾はすべてNLLの北側に落下した」と言っていたが、軍内外から疑問が提起され、10日午前、わずか数時間で前言を翻した。韓国軍は、哨戒艦「天安」沈没事件以降、西海におけるいかなる挑発も受け入れない、との決意を固めたが、NLL北方の何もない海面に向けた対応射撃すらできなかった。西海において米国と中国、韓国と北朝鮮の間で緊張が高まっている今、即座に対応射撃を行うのが最善なのかにつき、戦略的側面や外交的見地からは議論の余地がある。しかし「即時対応射撃」を誓っていた韓国軍が、着弾点をめぐりわずか数時間で前言を翻し、右往左往する姿を見ると、韓国国民はより一層不安にならざるを得ない。

 北朝鮮の『労働新聞』は10日、西海における韓国軍の機動訓練を非難し、「本物の戦争というものをはっきり見せてやる」と再度威嚇した。北の挑発に過剰対応するのも危険だが、北に大韓民国の決意と覚悟を見誤らせてしまうなら、さらに大きな挑発につながりかねない。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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