破産手続き浜田容疑者「答える意思ない」

　「ハマコー」の愛称と、過激な発言で知られる元衆院議員の浜田幸一容疑者（８１）が１０日、融資の担保に差し入れた株券を利益目的で売却し、約２億円の損害を与えたとして、背任の疑いで千葉県警に逮捕された。「答える意思はない」と供述を拒んでいるという。浜田容疑者は９３年の政界引退後、テレビで活躍。最近はツイッターを駆使し、ネット界にも進出。一方で多額の借金を抱え、昨年１月から破産手続きに入っていた。

　浜田容疑者は１０日午後、千葉市内のホテルで逮捕され、千葉北署に身柄を移された。逮捕容疑は、千葉市稲毛区の産廃処理会社から２億円を融資される際、担保として提供した株券を０６年に勝手に売却、同社に同額の損害を与えた疑い。株券は上場済みの情報通信企業のもので、０５年６月下旬に差し入れた。その後、他人名義の株券を自分の名義に変更するとして一時返還を受け、０６年３～４月に計数百株を売り、約２億２０００万円を得た。

　同社会長（６５）は取材に「８００株を受け取った。返済期限は０５年１２月だったが、金は戻ってこなかった」と話した。今年２月、背任容疑で千葉県警に刑事告訴した。県警は今後、金の流れを詳しく調べる方針。

　浜田容疑者は６９年、衆院議員に初当選。同期には小沢一郎前民主党幹事長もいる。閣僚経験はないが、「武闘派」として名を広めた。７期務め、９３年に長男の靖一前防衛相に地盤を譲って引退後は、０８年３月まで出演した「ＴＶタックル」（テレビ朝日系）などテレビ界で活躍した。

　今年１月にはツイッターを始め、フォロワー数は２０万人を突破。８月４日には「国会議員も休憩中はガリガリ君たべて頭冷やせ！」とつぶやいていたが、同時に「明後日くらいにツイッターやめるかな」。逮捕前の７日には「熱帯夜、熱帯夜、熱帯雨林、渡り廊下走り隊」と記していた。

　ただ、引退後は金策に窮していたようだ。靖一氏の後援会メンバーの会社社長によると、浜田容疑者から約半年前に数百万円の融資を依頼する電話があったという。昨年１月には千葉地裁から破産手続きの開始決定を受け、破産管財人の弁護士によると手続きは続行中。

　最近は国会近くにある東京・永田町の事務所を拠点にし、千葉県富津市の自宅に帰ることはほとんどなかったという。参院選の応援ではつえをつくなど、体力的な衰えもみられた。靖一氏は「事実関係を確認していないが、お騒がせして親族として申し訳ない。今後の推移を見守らせていただきたい」との談話を発表した。

　［2010年8月11日9時41分　紙面から］