【北京=峯村健司】中国軍が、遼寧省興城市と陝西省西安市に空母に搭載する戦闘機の発着訓練飛行場を建設していることがわかった。香港在住の軍事評論家、平可夫氏が中国軍関係者の証言と衛星写真から確認した。さらに搭載用戦闘機を国産で開発していることも新たに判明。近く試験飛行が始まる見通しだ。
軍関係者によると、国家中央軍事委員会は昨年4月、初の国産空母建造を内部決定したが、公表していない。二つの飛行場とも滑走路は国産空母と同じ長さで、実際に使う管制システムや発着用の装置が備えられており、建造の本格化が裏付けられた。
戦闘機は「殲(せん)15」と名付けられ、遼寧省瀋陽市にある中国軍系の会社が昨年秋、試作機を製造した。空母に搭載できるように、折りたためる主翼や水平尾翼を持つ。ロシア製戦闘機スホイ33に外見が似ており、ウクライナから購入した同機のテスト機をもとに開発した可能性が高い。
これらの戦闘機は、西安市郊外に完成した飛行場に移される。滑走路には実物の空母の船首と同じく14度そり上がったジャンプ式の発射台などがあり、発着試験が実施される予定。
同時に興城市の遼東湾沿いには、搭載用戦闘機のパイロットの訓練飛行場を建設しており、新たに海軍パイロット訓練部隊を設けた。衛星写真から24機の戦闘機を収納できることが確認できる。中国軍関係者によると、近くの軍施設では約50人の中国人パイロットがすでに陸上での訓練を始めている。短距離滑走での発着は難しく、最大の難関だった搭載用戦闘機の実用化ができれば、空母建造に大きな弾みとなる。
陸上での発着訓練を終えると、ウクライナから購入し、訓練用空母として遼寧省大連市で改修している旧ソ連軍のワリャーク(6万トン級)での実戦演習に移る。平氏は「空母用戦闘機の飛行場を同時に二つも設けた例は旧ソ連や米国でもない。急ピッチで建造を進めていることがうかがえる」としている。