それは何故かというと、ミュージシャンには、自分の作品を何度も聞き返すタイプとそうでないタイプといると思うのですが、僕は典型的な後者なのです。ぜんぜん聞かない(苦笑)。 そこにもってきて、僕が非常に「記録に不精」なことでありまして、今日、誰の、何という曲で演奏したかとか、もう、スタジオを出た直後に忘れてしまうのです。マジで。何せ量が膨大。というせいもありますが、どうやら僕は自分の演奏に執着がないみたいなのです(いいのか) ですから、記録ではなくて、記憶。つまり、レコーディングしていた時の「おお。良い曲」とか「今日はすんげえ上手く出来た」とかいう、音楽の印象だけが僕の中にインプットされている訳で、今回は「いやー。よかった。楽しかった。という記憶がある」という基準に53枚選びました。(当然「おお。ひどい曲」とか「今日はぜんぜん上手くできなかった」という経験もまた記憶に残るのですが、いつかその裏ディスコグラフィーも作ってみたいですね。アタマん中には既にあるんですけどね) 「53枚選びました」なんつってますけど、実はこの内、今、手元にあるのは3枚だけなのです(苦笑)さっき書いたように、聞かないから、必要ない訳ですよね。出来上がったサンプル盤にすら耳を通してないのすら、いっぱいあります(上手くできた。と思っているのにも関わらず。です)。まあ、「記憶としてストック出来る数は50が限度」という所でしょうね。やった仕事の10分の1。くらいでしょうか。 ひょっとしたら記憶違いで、違うアーティストのものだったりそもそも存在しない、夢にでも見た話も混じっているかも知れませんが、お暇な方はCDナンバー等を調べて確認して下さい(誰もしねえよそんなこと)インチキなディスコグラフィーなので、お詫びにコメントをひとつずつ付けます。53枚総てお持ちの奇特な方が居たら■■■■■■までお申し出下さい。一緒に熱海とかに行きましょう。 スパンクハッピーの6枚 これはまあ、自分のバンドなので、作詞、作曲、アレンジ一通りやってますね。 現在はひとりになっちゃいましたけど(苦笑)これら総てがレコーディングされた時は、河野伸くん、ハラミドリちゃんと3人組でした。バンドの決まり事として作詞、作曲のクレジットを出さなかったのですが(いつか暇な時にでも、完全クレジットを製作します)基本的には作詞は僕がやって作曲は手分けしてやってまして、僕の曲とミドリちゃんの曲は僕がアレンジしていました。今聞くと恥ずかしいのとかもあったりしますけど、僕の大切な思い出だし、ビギナーの方(爆笑)が、僕のことを知るのには一番手っ取り早いと思います。 (アルバム) (シングル) ティポグラフィカの4枚 ティポグラフィカの音楽は、総て今堀恒雄が作曲していたものですので、僕は譜面に書かれたサックスのパートを吹いていたに過ぎません。でも、曲名は全部僕が付けていたので、サックスよりも、曲名、アルバム名の感覚とかの方が自分らしさを出していた部分だったかも知れませんね。かなり真剣にネーミング作業をしてました。凄く良いバンドだったんですけど、惜しくも解散してしまいました。 サックス奏者としての23枚 さあ、ここから記憶が曖昧に成るぞ。メーカー名はおろか、アルバム名、曲名も曖昧なシリーズ(ひどいシリーズだなあ) チャラさんを見いだした新人発掘部の担当者が僕の大学の同期だったので、チャラさんはプレ・デビューのデモからしばらくの間御一緒させて頂いておりました。 「とにかくフリーキーにノイジーに吹いてくれ」との事で、ブキョーとかいっています。チャラさん初期の名盤ですね。 山下さんとは、89年から94年ぐらいまで頻繁に御一緒させて頂いていて、デュオでツアーとかしていました。その頃「おじいさんの古時計」という曲をフリージャズでやる。というアイデアを僕が出し、レパートリーになっていたのですが、それがレコーディングされています。アルバート・アイラー的。 ピチカの小西さんとは、結構な数の仕事をしていますが、確かピチカには2曲ぐらいソロ吹いた筈なんだよなあ。小西さんは余りディレクションしないで、最初に「こんな風に」といったらスタジオ出て行っちゃうタイプです。終わり頃来て「はいオッケー」という。 これを憶えているのは、2日連続で小西さんプロデュースの仕事があり、一日目が「男と女」で二日目が「イパネマの娘」だったからで「すげえ、世界名曲デーですね」とかいっていた憶えがあるからです。どっちがどっちの曲かは、だから忘れちゃった(苦笑)スタン・ゲッツの安いモノマネみたいな、いい感じのプレイにしました。 これはすげえ楽しい現場でした。デス渋谷系の創生期。っつうか、東芝が暴力温泉芸者のアルバムを出していた。という時代ですね。中原くん、ASA-CHANG、という、僕が大好きなクリエイターが現場に揃っていたので、嬉しかった上に後日、中原くんの「ソドムの映画市」という映画評の本(これ傑作。必読)にこの時のことがちょこっと書いてあって嬉しかった記憶があります。野坂昭如の歌のカヴァー。 ASA-CHANGも僕を使ってくれることが多いプロデューサーの一人ですが、これもそうです。 小島さんのは一回ボツになって、確か最近アウトテイクス集かなんかに納められたんじゃないかな。曖昧。 この人は凄くステキな人で、レコーディング現場でお会いして、一目惚れしてしまった人です。スパンクスのヴォーカルを誰にする?という会議で真っ先に名前を出させて頂いた位で(ダメでしたが)歌声も曲も詞も良い感じで、プレイもそれに乗ってすげえ良い感じで出来ました。でも曲名もアルバム名もわかんないや。 徳間ジャパンに、小西さん、桜井鉄太郎さん、窪田晴男さんの3人が「ワイルドジャンボ」というレーヴェルを立ち上げた時に(今、どうなってるんだろう?知らない)ライブ・パーティーをやりまして、それのライブ盤が出てるんですよね(確か)。ブルースを吹きまくっています。僕大活躍(爆笑)多分廃盤だろうな。 エルマロとも随分やったんですが、一番新しい2枚組(多分)に入っているのがグレード一番高いですね。 これは隠れたお気に入りです。チャーがやってる江戸屋レーヴェルの何周年か記念のコンピで、デュエットばかりを入れたのを出すとかで(確か)小川美潮さんとどなたか(忘れちゃった。すんません!)のデュオにサックス入れたんですけど、すげえ良いチューン。音より、歌よし、曲よし、詞よし、サックスよし。 曽我部くーん、元気か?楽しかったねえ、あの時。今度こそ遊びに行こうよ。 主にアニメ音楽の世界でのマイスターである菅野ようこさんですが、彼女が手掛けたアニメのサントラにもかなり参加しました(もう、記憶ごちゃごちゃ)。その縁で、彼女がサウンドプロデュースを手掛けた女性アーティストの皆さんのアルバムにも参加させて頂いています。小泉さんのは、キティちゃんのジャケットで、オマケにシールが付いてる奴。エスティナ・ノルデンシュタインのアルバムの管のマネッコみたいんで、良い感じ。今井さんのは、ギターの今堀と一緒にとったのですけど、小声で「おい、本人きてるよな。きれいだな。やっぱ(菊地)」「そうかなあ。わかんないや(今堀)」みたいな会話をしながらパパッととりました。 辛島みどりさんの様な方に僕のサックスが必要なことなんてあるのか?と思うのですが、辛島さんの作品の中で、すんげえダークな、サンプリングを多用したドロドロしたサウンドの曲が1曲だけあるのですね。もう名前とか何も憶えてないけど。それにかなりの多重録音でサックス入れています。 天才倉地久美夫です。探すのは困難でしょうが、ティポグラフィカ、スパンクハッピー、グランドゼロと並ぶ、僕の代表作となる強烈無比な音楽です。「太陽のお正月」というライブアルバムと「噂のバッファロー」というスタジオ録音と2枚あるのですが、京浜兄弟社のコンピに入っている「ザバザバ」という曲も良いです。 これも、1曲やった筈。これを録った日は、昼イチでパラダイスガラージュがあって、終わってそのままサニーデーサーヴィスの録音だったんで憶えてる。「今日はクイックジャパンの日だ」なんつってね、クイックジャパンはどうなってるんでしょうか?どっちも才能ある好青年という感じで、素晴らしかったです。 ヲノさんの「楽しい科学」?だっけかな?ソロアルバムに1曲だけ入ってます。ムードテナー的。パパッとやって、ササッと帰ってきて、実に軽くお洒落な現場でしたね。ヲノさんらしい。 この人も今はすごい有名に成ったのですが、デビューアルバムかなんかに入ってます。「僕の醜い魂よ〜ヒットチャートを駆け抜けて〜」とかいう歌詞でした。「ついこの前までセールスマンやってて、カタギだったんすよ〜。よろしくおねがいしま〜す」とか腰が異様に低いのに、凄い才能のきらめきを感じた人でしたね。 これは全部憶えています。日本コロンビアから出てる(もう廃盤)「ココロノート」という原みどりちゃんのアルバムの「ステイ」っていう曲ですね。これが僕がスタジオミュージシャンとして録音した、記念すべき最初のプレイです。後に彼女とはスパンクハッピーを始めるのですが、事務所の名前が「ステイミュージック」なので「因縁だ因縁だ」といってました。懐かしいなあ。 作詞家としての4枚 作詞家としては、発表数よりもボツ数のが圧倒的に多いです。「エロ過ぎる」「エグ過ぎる」「良く解らない」などなど、聞いたら驚くような方へ提供してはボツっております(苦笑)辛うじて通った物の中から、まあ今聞いても悪くない・・・かな?というものを。 東京パフォーマンスドール→イーストエンド&ユリと来てソロに成った市井さんのアルバム「ジョイホリック」(ソニー。・・・・だと思う)は、ASA-CHANGのお引立てで作詞、作曲、ホーンアレンジ、サックスプレイ。とほとんど総ての事をやってますが、まあ作詞家としての尽力が一番大きいのかな。「ピクニック・ラブ」「双子の恋人」「タイムマシーン・ブレーカー」「レインボー・スキップ」「ふたりだけの日記」 現在TVジーザスというバンドをやっている寺本リエコさんという(漢字忘れちゃった。寺本さんごめん)方が前にやっていたバンドに1曲作詞しました「ジェラシー好き」という曲です。 カルピスウォーターのTVCMをこの匿名のユニットがやることになり、結果としてはぜんっぜん 売れなかった(爆笑)のですが、メンバーも豪華だし、出来も凄く良くて、今でも気に入ってます。何せ、作詞とアレンジとキーボードが僕で、ヴォーカルがこなかりゆさん、ギターがマイリトルラバーの藤井くんでドラムがコレクターズの人、ベースは当時のコーネリアス回り、そんで大友良英がターンテーブルですよ、これ僕と大友とこなかさんが後にがんばって売れれば(苦笑)コレクターズアイテムに成ること必至。「奇跡と退屈」という曲です。 「ユリちゃん」つながり。ということで(苦笑)これは最近のですね。声優の白鳥さんに、ティポの今堀と二人でソングライターチームを結成し(彼が作曲、アレンジ)、4曲作詞しました。「ニコル」というアルバムです。「メタル・リセ」「助手席の悪魔」「ロリータは密林の教会へ行ったか?」「市街地」 アレンジャーとしての7枚 アレンジャーをやると「何かひとつ変わった事」を、どうしても入れなければ気が済まない病気があって、ヘンテコな事に成りがちです。僕にオファー下さった方は、面白がるか、引くかのどっちかだったでしょうなあ。引いた方々ごめんなさい。もう、この病気は治ったのでみなさんガンガンオファー下さいね(苦笑) これは楽しかったな。出産前で、日本でテレビタレントめいたこともしていた頃の花代ちゃんのシングルです。かの香織さんのポップな曲ですけど、何とメルツバウの秋田さんのEMSが入っているのがコレクターズアイテムでしょう(苦笑) かのさんとも一時かなり御一緒しました。これは、サンプリングコラージュを含め、バラードをサンプラーだけで作る。アコピはプリペアドにする。という実験をやって、大いに迷惑かけちゃったな。でも、気に入っています。「デイジー」という曲です。 ASA-CHANGプロデュースによる、元ネロリーズのカズミちゃんの名盤ですねこれは。僕がやったチューンもムチャクチャにかっこいいです。最高最高。アレンジャーとしての僕の一番上手く行った奴じゃないかなあ。これは手元に現物あります。クラブプレイの時に必ず回すので。「プリーチ」という曲です。メンバーも豪華。 元スパンクスの河野くんと共同で、小西さんプロデュースの夏木マリさんのアルバム「ゴリラ」のタイトルチューンのアレンジをしました。まあ、60年代初期のハードバップ風ですね。あまり実験出来なかった(河野くんと二人だったから・・・苦笑) 彼等のクールさに友情を表してノーコメント(苦笑) 安達さん、大人になっちゃいましたねえ。「プレイボーイ」のグラビア見て、スタジオですれ違った方と同一人物とは思えませんでした。買っちゃいました。プレイボーイ。曲名とか忘れちゃった(作曲はカーネーションの直枝さん)けど、何か、実験もなんも出来なくて、ふつーうになっちゃったんだよな。確か。笑うぐらい普通。そしたら何か良い感じだったという(爆笑) ええと、彼女にも3曲くらいアレンジしたんだよな確か。2曲はかの香織さんの曲で、何だっけ、結構実験したんだよな。ドラムンベースのループをそのまま遅くして、バラードのドラムにしたり、とんでもないマイナーなクラシックの海賊版からフレーズ抜いたりとか「要らない実験」を多様して(苦笑)います。 ホーンアレンジャーとしての9枚 仕事として一番好きなのがこれですね。日本はこの分野が他に比べて立ち遅れているので「実験」といっても「ヘンテコ」「ヘソマガリ」つう形ではなくて、ストレートにアップグレードを志向してしまうせいもあるからかもしれないですけど。やったのは大概みんな気に入っていますし、グレードも高いと思いますよ。 これもASA-CHANG仕事だ。多いなあ。あの有名なテーマ曲を、ブラスバンドで再現。みたいなASA-CHANGノリの、ノスタルジック&トラウマシックで切ない感じですね。バカ&哀しみ。な感じ。バカレコードを最初から志向したような奴ですね。 この人も異能の天才で、ホーンアレンジもかなりやりましたが、サックスソロも吹いてるしライブもやったし、果てはヴィデオクリップにまで出てしまいました。でも、ホーンアレンジが一番好きかな。ギル・エヴァンス的な、ダークで低音寄りのセクションがはいってます。 これもASA 関係。アルバム名解りませんが、多分一番新しいんじゃないかな「昔みたいに遊べない」という曲のホーンセクションを12人というデカイ編成で書きました。大蔵ミュージカルのビッグバンドみたいな。 もりばやしさんとも10年来の知り合いで、ハイポジも昔っからいろいろやってますけど、ホーンアレンジャーとしては「ナミダハボーリョク」という曲をやっています。これは、アートアンサンブル・オヴ・シカゴ的な、最高のアレンジをしたのにミックスでズタズタにされたので、今でも恨みに思っていて、そういう意味で記憶に残っていますね(苦笑) こなかさんにも2〜3曲ホーンアレンジした記憶があるのですが、やっぱ曲名とか憶えてないや。1曲くらいアウトテイクスになった気がする。なんつうか、軽くてイカした感じの仕上がりで、こなかさんの音楽にあっていた感じでしたね。 ライダースにも1曲だけ、岡田さんの曲で、確か「みんなライバル」とか・・・いったよな・・違ってたらスンマセン。マーチみたいな曲。これは僕のセンス。というより、岡田さんが打ち込んで来たものを生用にちょいといじった仕事でしたが。ライダーズは憧れのバンドなので張り切ってやりました。 これも最近出たばっかのアルバムじゃないかな、ピチカ小西さんのオファーで2曲「これは恋に似てる」つう、ラテンみたいな仕掛けの多い曲と、なんだっけかな・・・「雨の日はなんとかかんとか・・」ええと・・・何かそんな詞の曲で、バカラック〜ギル・エバンス的な3管のラインを入れています。 これも小西さんオファーシリーズですね。今週やったばっかりの最新作です。小西さんの書いた60年代歌謡曲みたいな曲に「シオノギ・ミュージックフェア」ミーツ「スモール・サークル・オヴ・フレンズ」みたいな、ダサ目のソフトブラス。みたいのを入れました。 |