◆米男子プロゴルフツアー 世界選手権シリーズ・ブリヂストン招待最終日(8日、米オハイオ州ファイアーストーンCC=7400ヤード、パー70) 石川遼(18)=パナソニック=が、“怪物”退治に成功した。600ヤードを超え「モンスター」の別名を持つ16番で史上5人目の2オンを記録。この日は6バーディー、4ボギーで通算4オーバーで53位も、今季メジャー最終戦・全米プロ選手権(12日開幕、ウィスコンシン州・ウィスリングストレーツ)へ向け大きな弾みをつけた。優勝はハンター・メイハン。タイガー・ウッズ(ともに米国)はプロ転向後最低の78位。
目の肥えた米国の観衆からどよめきが起こる。石川が、最後の最後で歴史に残るショットを決めた。「モンスター」と呼ばれる16番。第2打はピンまで残り245ヤード、左足下がりの左ラフから。3Wから放たれたボールはグリーンへと向かい、奥のカラーギリギリのところで止まる。コースが延長された03年以来5人目の2オン成功で、バーディー。「気持ちよかった」。“怪物”を退治した18歳に大歓声が浴びせられた。
この日はティーが602ヤードに置かれ、追い風が吹く好条件。狙っていた。第1打は357ヤード先のラフへ。「強烈な左足下がりで(グリーン前の)池に落ちることもあるしミスの可能性は高かった」が、迷いはなかった。
手にしたのは3W。観客からは拍手が起きた。「4日間プレーしてチャンスがあったら狙っていきたかった」。スコアを大きく伸ばすことはできなかったが、攻めの気持ちは忘れなかった。その後、4人が2オン。成功者は9人となった。
もう一つ狙っていた自己最長369ヤードの更新はお預けも、1年前は70キロしか上げられなかったベンチプレスが現在は100キロ。仲田健トレーナー(41)の指導で筋力は確実に上がっている。「下半身を太くすればまだ伸びる」と同氏。今後の400ヤード超えも夢ではない。
16番以外ではショットの乱れもあったが、4番では20メートル、7番では8メートルを沈めるなど前日まで悩んでいたパット感覚が戻ってきた。次戦は12日開幕の全米プロ選手権。会場のウィスリングストレーツは7500ヤードを超え、1400以上もあるバンカーで有名。全米屈指のモンスターコースだが、今は不安より楽しみの方が多い。「今年最後のメジャーでモチベーションも高い。今日の内容は充実感もあり手応えもある」。勢いに乗った石川が、再び怪物に挑む。
◆16番の2オン 06年にフェルナンデスカスタノ、07年にウェストウッド、09年にY・E・ヤン、ビジェガスが達成。この日は、石川のほかにマキロイ、グーセン、グローバー、ウィークリーが成功した。