提訴後に記者会見する寒川進さん=10日午後、京都市中京区、玉置写す
障害を理由に会社から昇進試験を受けることを拒まれたとして、パラリンピック・アテネ大会車いす1600メートルリレーの銅メダリスト寒川(かんがわ)進さん(41)=京都市西京区=が10日、勤め先の自動車部品メーカー「ジヤトコ」(本社・静岡県)に約1800万円の損害賠償などを求める訴訟を京都地裁に起こした。
寒川さんは入社後の1989年、バイクの転倒事故で下半身不随になり、車いすで陸上競技を始めた。パラリンピックには2004年のアテネ大会、08年の北京大会に出場し、現在は京都府南丹市の同社工場で自動車部品の検査業務にあたっている。
訴状によると、寒川さんは05年以降、昇進の際の講習と検定の受講を上司に何度も申し入れた。しかし、研修施設が車いすに対応していないことなどを理由に断られたり、昇進についても「これ以上は無理だろう」と言われたりしたと主張している。寒川さんは、昇進試験を受けていれば得ていたとみられる職能等級にあることの確認も求めている。
寒川さんは提訴後に京都市内で開いた記者会見で「一般の社員と同じ業務をこなしてきた自負はある。障害を理由に昇進を拒むのはおかしい」と語った。ジヤトコ経営企画部は「訴状が届いておらず、コメントは控えたい」としている。(玉置太郎)