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夏の高校野球:興南圧勝、島袋は7回無失点 鳴門は7失策

 ○興南(沖縄)9-0鳴門(徳島)●(10日・第4日第4試合=1回戦)

 興南は二回、山川、伊礼の連続適時打と慶田城の犠飛で3点、六回には国吉陸の2ランなどで4点を挙げた。球を見極め、三振が一つもなかった。先発・島袋は制球に苦しんだが要所を締めて7回無失点。三回のピンチで併殺を奪った内野陣の好守も光った。鳴門は走者を出した後の攻撃がつながらず、7失策と守備も乱れた。 

 ◆光った守備、春夏連覇へ好発進

 難なくやってのけたばかりに、簡単そうに見える巧みなプレー。零封の快勝は、興南の極めてハイレベルな守備が支えた。

 三回の守り。島袋が1死から二塁打、暴投、四球と乱れ、一、三塁のピンチを招いた。鳴門の3番・真田の打球はボテボテのゴロ。打球めがけて遊撃・大城が鋭く突っ込む。球をつかみ上げると、クルリと体を180度回転させて二塁へ絶妙の送球。受けた国吉陸もステップを切らずに一塁に素早く転送し、併殺を完成させた。

 点を与えないなら、大城が本塁へ投げて三塁走者を刺す選択もあった。だがそれでは走者が残りピンチは続く。大城は打球へ走り込みながら、打者走者の動きも目に入れていた。「右打席からの走り出しが遅れている。併殺狙いでも間に合う」。捕って真後ろへ投げるという、難しいプレーを即決した。

 大城の確信には裏付けがあった。興南では、球を捕ってすぐ体を反転して投げる動きは、日々の準備運動で行っている。ノックでも一、三塁に走者を置いて緩いゴロを転がし、野手がどう判断し送球するかという練習を繰り返してきた。

 まさに練習通りの状況が、試合で起きたに過ぎなかった。普段と同じようにこなした大城は「守備からリズムを作れて役割を果たせた」と満足顔。国吉陸も「(島袋)洋奨(ようすけ)は0点にこだわっている。併殺にできてよかった」と誇らしげだった。

 センバツを制した後も、我喜屋監督は「選手が自分で考え、実践する野球を目指す」と、さらに高い視線で鍛え上げてきた。その成果を発揮した初戦突破。春夏連覇へ向けて大きな一歩を踏み出した。【石井朗生】 

 ◆「らしさ」影を潜める

 センバツ優勝から4カ月。甲子園に帰ってきた興南の島袋だが、「らしさ」が影を潜めた。制球に苦しみ、特にセットポジションでは球を離す時に体が三塁側に流れる悪癖が出て、三回までに2四球、3暴投。「調子はいいのに打者に集中できなかった。変化球がばらついた」と反省しつつも、「春夏連覇を意識せざるを得ない」と話し、大きなプレッシャーがあることをうかがわせた。

 それでも要所は直球でねじ伏せ、しかもセンバツ後に新たに覚えたフォークを10球余り交えて「投球の幅が広がった」。進化も見せた左腕は「今日は60点。課題は必ず修正する」と次をにらんだ。 

 ◆興南・島袋から長打2本と奮起

 鳴門の1番・津川が興南のエース・島袋から長打2本を放って気を吐いた。第1打席は見逃し三振に倒れ、「振らないと始まらない」と奮起した。速球に的を絞って、三回は右中間二塁打、七回は左中間三塁打をかっ飛ばした。打撃マシンを145~150キロに設定して打ち込んだ島袋対策も奏功したという。それでもチームは零封され、「(長打2本は)うれしいけど、自分たちの野球ができず悔しい。(本塁は)遠かった」と肩を落とした。

 ◆毎回安打 興南(沖縄)が鳴門(徳島)戦で記録。第91回大会決勝の中京大中京(愛知)が日本文理(新潟)戦で記録して以来65度目。

毎日新聞 2010年8月10日 20時54分(最終更新 8月10日 22時46分)

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