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「改めて痛切な反省」 韓国併合100年、首相が談話

2010年8月10日12時4分

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写真:閣議に臨む菅直人首相(中央)ら=10日午前、首相官邸、飯塚悟撮影閣議に臨む菅直人首相(中央)ら=10日午前、首相官邸、飯塚悟撮影

写真:首相談話について記者会見で話す仙谷由人官房長官=10日午前、首相官邸、飯塚悟撮影首相談話について記者会見で話す仙谷由人官房長官=10日午前、首相官邸、飯塚悟撮影

 政府は10日の閣議で、韓国併合条約発効100年を迎えるのを機に、過去の植民地支配への反省や未来志向の日韓関係を築く決意などを柱とする菅直人首相談話を決定した。韓国が日本の植民地支配からの解放を祝う15日の「光復節」の前に公表することで、韓国側の前向きな対応を期待している。首相は談話の閣議決定後、韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領に電話し、談話の内容を直接伝えた。

 談話では「韓国の人々は、その意に反して行われた植民地支配によって、国と文化を奪われ、民族の誇りを深く傷付けられた」との認識を表明。そのうえで、「歴史の事実を直視する勇気とそれを受け止める謙虚さを持ち、自らの過ちを省みることに率直でありたい」として、戦後50年を機に出された1995年の「村山談話」の表現と同様に「植民地支配がもたらした多大の損害と苦痛に対し、ここに改めて痛切な反省と心からのお詫(わ)びの気持ちを表明する」としている。

 そのうえで「これからの百年を見据え、未来志向の日韓関係を構築する」として、将来の東アジア共同体の構築に向けて、両国関係をアジア地域の平和と安定、核軍縮、気候変動などで「協力してリーダーシップを発揮するパートナー」と位置づけた。

 また、宮内庁が保管している古文書「朝鮮王室(王朝)儀軌(ぎき)」を韓国側に引き渡す方針も明記した。「朝鮮王室儀軌」は朝鮮王朝時代の王室の公式記録で、韓国が日本に返還を求めてきた文化財の一つ。韓国国会も06年、返還要求決議を採択していた。談話では、文書への韓国の所有権を認める「返還」ではなく、引き渡しと位置づけた。政府として未解決の補償問題の存在を認めるような表現は避けた。

 記者会見した仙谷由人官房長官によると、首相との電話協議で李大統領は、談話に対する「強い謝意」を表明。「韓国と日本が将来、より強い協力関係を築くことができる」と述べたという。

 談話は、鳩山政権時代から水面下で検討が行われていた。菅政権では、仙谷官房長官を中心に検討を進めてきた。韓国側は事前に、15日より前の談話発表を期待する声を寄せていた。

 一方で閣内からは、「慎重に検討してほしい。賠償、補償の話が蒸し返されることは絶対あってはならない」(玄葉光一郎・公務員制度改革担当相)と談話発表に慎重な声も上がっていた。野党側も自民党の安倍晋三・元首相らが、談話発表に反対する声明を出していた。

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