「総合エンターテインメントの殿堂」をつくれ
小山薫堂(放送作家/脚本家)
(VOICE 2010年6月21日掲載) 2010年6月26日(土)配信
日本人のサービス精神がウケている
いま、日本のポップカルチャーが「クール・ジャパン(カッコいい日本)」といわれ、注目を集めています。「クール・ジャパン」現象のきっかけとなったのは日本のマンガだと思いますが、それがアニメーションから映像世界全体にまで広がっています。
たとえばアメリカでは、日本発のテレビ番組がブランド化しています。私はいまアメリカ人プロデューサーと、あるテーマの番組を制作しているのですが、当初から「日本で番組をスタートさせ、その後、アメリカで放映したい」という話がありました。テーマ自体は日本文化特有のものではなかったので、「なぜわざわざ日本で?」と聞くと、「日本発の番組にしたほうが、アメリカでイメージがよく、ブレークしやすい」というのです。アメリカから日本にプロデューサーがやって来て番組をつくり、それを逆輸入するといった現象が起きているわけです。
また、アメリカで人気があるテレビ番組のジャンルの一つにリアリティー番組(視聴者参加型で、素人出演者たちが直面する体験を楽しむ番組)がありますが、そのベースとなっているのが日本のバラエティー番組というケースも少なくありません。
日本の番組の何が海外の人を惹きつけるのかといえば、日本的な「繊細さ」や「細やかさ」、さらには観る人に対する「サービス精神」というようなものではないかと感じています。
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