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日本フライ級清水４度目防衛　６回ＴＫＯ、ボクシング日本タイトルマッチ（2010年8月10日午後1時04分）

タイトル防衛を果たし観客にこたえる清水

５回、左パンチを放つ清水智信（左）＝東京・後楽園ホール

　プロボクシングの日本フライ級タイトルマッチ１０回戦が９日、東京・後楽園ホールであり、福井市出身の王者、清水智信（金子）が日本同級７位のキューピー金沢（青木）を６回３６秒にＴＫＯで退け、４度目の防衛に成功した。清水の戦績は２１戦１７勝（８ＫＯ）３敗１分けとなった。

【経過】清水は出だし様子見の展開。ロングフックで突っ込んでくる金沢にやや押される場面もあった。
　しかしすぐにタイミングをつかみジャブ、ワンツーで金沢の足を止めると、２回以降はワンツーからの左ボディーブローや、すきを狙ってステップインしながらの左右のボディーブローが次々とヒット。金沢は突進を止められると防戦一方で、大振りのフックが空を切るばかりだった。
　３、４回には激しい打ち合いを見せ、清水は上下、左右と効果的な打撃を加え優位に進めた。５回の打ち合いでは気迫で前へ出る金沢に一時、押され気味になったが、すぐに連打で主導権を取り返した。
　６回、清水が一方的に連打をヒットさせると、金沢側からタオルが投げ込まれＴＫＯとなった。

　日本タイトルのレベルでは、もはや無敵のようだ。格下との対戦とはいえ、この日のタイトルマッチは清水の独壇場。アウトボクサーから、すっかりインファイトも可能な両刀遣いとなり「打ち合うボクシングができた。楽しかった」と、乱打戦の後とは思えぬきれいな顔で言い放った。
　２月の小林タカヤス（福井市出身）との防衛戦以降、筋力トレーニングに集中して取り組んできた。以前は「筋力ばかりあっても」と敬遠してきた練習法だったが、小林との対戦でパワーアップの効果を感じ「本気でやる気になった」。
　その成果をしっかりと披露。「出したかった」というボディーブローが随所に決まった。以前は距離をとって戦いがちだったが、この日は相手の動きが止まると一気に間合いを詰め、積極的に打ち合いに出た。
　ただ、フィジカル面の強化は接近戦が目的ではなく、持ち味のアウトボクシングを生かすためという。世界戦を視野に入れると「どの選手も圧力が強い」ため、押されず距離をとることができるパワーが必要というわけだ。インファイトが得意な金沢の足を止めた試合運びをみると、十分な成果を得たといえそうだ。
　４度目の防衛で圧倒的な強さを見せ、世界戦が大きく近づいた。世界ボクシング評議会（ＷＢＣ）、世界ボクシング協会（ＷＢＡ）の両方をにらみながら「後は防衛戦を戦いながら待つばかり」（金子健太郎・金子ジム会長）。
　だが、清水自身は「アウトボクシングとインファイトの融合という、自分の戦い方を確立しなければ」とまだまだ成長し足りない様子。どこまで強くなるのか、目が離せない。（佐々木哲也）