ハイエンドモデル「RD-X10」がアナログ音声回路にこだわる理由とは?

 高級モデルである「RD-Xシリーズ」の再生能力は定評があるが、今回のハイエンド機「RD-X10」は、7.1chのアナログ音声出力端子など、従来のXシリーズ以上にアナログ音声にこだわっている。RD-X10の音声回路を設計した東芝デジタルメディアエンジニアリングの桑原光孝氏に、アナログサウンドへのこだわりを聞いてみよう。

CELL REGZAシリーズやREGZAブルーレイの音声回路設計を担当した東芝デジタルメディアエンジニアリングの桑原光孝氏(画像クリックで拡大)

増田: RD-X10では、従来のレコーダーでは考えられないほどぜいたくなアナログ音声の出力回路を装備していますね。HDMIでのデジタル出力が一般的になった現在で、ここまでアナログ音声にこだわった理由は何でしょうか。

桑原氏: RD-X10では、BDプレーヤーとして“アナログの音”にこだわりました。映像については超解像技術を採用した「レゾリューションプラスXDE」機能を装備しましたので、REGZAの超解像技術とのマッチングなどに配慮しました。映像はHDMIデジタル接続によって、ディスクソースに対するHi-Fiな再生という基本はクリアできていると思います。

 ただし、音声出力についてはHDMI接続が必ずしもベストとは言えず、アナログ出力のほうが良い場合もあります。アナログ音声は高性能なD/A変換(デジタルからアナログへの変換)回路などを採用すれば、音の厚みや奥行き感などを大きく向上できるからです。2000年に開発したハイエンドDVDプレーヤー「SD-9200」から私が一貫して追求してきたのは、この「アナログの味、アナログの奥の深さ」なのです。

RD-X10の背面端子部。7.1chのアナログ音声出力を備える。映像・音声出力用HDMI端子のほか、音声のみ出力するHDMI端子も備えている(画像クリックで拡大)