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口蹄疫「国の疫学調査不十分」畜産農家が不満

 口蹄疫(こうていえき)問題で、感染ルートなどを調べる国の疫学調査について、畜産農家から「不十分」とする声が上がっている。発生農家への聞き取りがないことなどから、再調査を求めたところ、国と県の担当者が現地を訪れ、意見交換が行われた。

 再調査を要望しているのは、初期に発生が集中した川南町の農家や都農町の水牛農家。農林水産省によると、これまで疫学調査チームの現地調査は3回行われ、1、6例目などの農家には直接話を聞いたが、川南町の2〜5例目については、県が発生時に聞き取った情報が報告されただけという。

 輸入した水牛を飼っていた竹島英俊さん(37)は「海外の研修生を受け入れて感染した」「従業員を介して川南に広がった」など根拠のないうわさを流されたという。同省が7月23日、水牛から検出したウイルスが最も早い感染と発表したことから、信ぴょう性を持って受け止められたという。

 竹島さんは「国には口頭で2回説明しただけ。初例とされるのは納得できない」と憤る。海外から研修生を受け入れたこともないという。

 2〜5例目の農場近くで乳牛62頭と肉用牛23頭を飼育していた染川良昭さん(58)は、昨年9月から竹島さんに飼料を提供。竹島さんの農場の軽トラックが毎日出入りしていたが、染川さんの牛は感染せず、ワクチン接種後に殺処分された。

 染川さんは「関係する農家にしっかり話を聞いて、情報を突き合わせるべきだ」と注文。5例目だった森木清美さん(61)は「感染源やルートが解明されなければ、安心して再開できない」と憂慮する。

 地元の要請を受け、同省動物衛生課の職員2人と、国の疫学調査チームの委員を務める県職員ら2人が3日、川南町を訪れ、竹島さんや獣医師らと約3時間意見を交わした。調査の不十分さや発表による風評被害を指摘する声が相次いだという。

 農水省の担当者は「7月の発表は可能性の示唆だが、丁寧にすべきだったと反省点もある。情報の裏付けを取り、最終的な提言につながるよう調査を続ける」としている。

2010年8月10日  読売新聞)
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