先月末から高速道路の一部区間で、通行料金を無料にする社会実験が始まっています。
西鉄やJRなどは旅行需要が高まる、この時期にあわせ新たな対抗策を打ち出しています。
国内最大のバス会社=西鉄は多くの人が集まる福岡市天神地区の広場に、2階建ての高速バスを展示しました。
福岡と東京を結ぶ「博多号」。
訪れた人には、通常の座席に加え価格を高めに設定したプレミアムシートも体験してもらいます。
●訪れた人
「新幹線と飛行機は、東京まで使ったことあるけど、バスも料金的に考えて、アリかもしれない」
平日を含む高速道路の無料化実験が先月、全国37の路線で始まりました。
九州では八木山バイパスなど、13区間が対象です。
今回、西鉄が対抗策として打ち出したイベントは宮崎交通や、佐賀を拠点に事業展開する昭和バスなど九州のバス会社7社の共同開催です。
●西鉄博多自動車営業所・田中昇助役
「1,000円高速や無料化という時代の流れで、立ち向かうためには、バス事業者が一致団結して対抗しないと厳しいものがある」
イベント会場には、九州各地の農産物や加工品も並べられています。
バス業界でライバル企業が一緒になって、こうした試みを行うのは初めてのこと。
バス全体の利用客アップを期待しています。
●昭和バス自動車事業本部・松永明人さん
「高速バス・からつ号を使って、来ていただいて、呼子の朝市や唐津の観光名所などを楽しんでもらいたい。バス会社みんなで頑張っていこうと言うのが一番」
去年から実施されている土日の1,000円高速では、高速バスの利用者が減りバス会社は収益面で大きな影響を受けました。
バス業界としては二の舞は避けなければいけませんが今回、無料化されたのは、交通量の少ない地方路線がほとんでまだ、社会実験開始からまもないため西鉄では「今のところ、はっきりとした影響は見えない」と話しています。
JR九州は無料化実験以降の2週間の鉄道収入は、前年に比べ2パーセント〜3パーセント程度減っています。
大雨の影響も考えられるため、詳しい分析が必要だとしていますが、利用客の増加を狙って今月、長崎県佐世保市のハウステンボス駅を18年ぶりにリニューアルしました。
ハウステンボスのある佐世保市と佐賀県武雄市を結ぶ西九州自動車は、今回の無料化実験の対象区間となっています。
リニューアルで、壁と天井がベージュとモスグリーンの2色でヨーロッパ調に塗り替えられたほか、大型モニターを設置してハウステンボスのイベント情報を発信しています。
●JR九州唐池恒二社長
「ハウステンボスという街がもっと栄えて、私どもが玄関としてキチッとお客様をお迎えする、そういう駅にしていきたい」
旅行需要が高まる夏休み。
高速・無料化の影響がどう出てくるのか、交通各社は利用客の今後の動向を見極めながら次の一手を繰り出す準備を進めています。