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◆100年前の「日韓併合」、今の両国間で問題なの?
なるほドリ 今年は、日本が朝鮮半島を植民地化した日韓併合100年だね。何か特別な行事があるのかな。
記者 李朝が国号を改めた大韓帝国が、1910年8月22日に締結された「韓国併合に関する条約」でなくなり、日本が朝鮮半島の支配権を手にしました。韓国では研究機関のシンポジウムなどが予定されているけれど、政府レベルの特別な行事は予定されていません。
Q 日韓併合や関連する事件を巡って、今も意見や主張の違いがあるそうだね。
A 例えば、日韓併合への動きを決定的なものにする契機となった事件に、1895年の「閔妃(ミンピ)暗殺」事件があります。李朝内部の親露派である閔妃が殺され、それ以降、李朝は急速に日本に近づいていきました。実行犯が日本人か、韓国人かなどを巡って、小説やノンフィクション、テレビドラマなどで、今もさまざまな意見や主張が出されています。
Q 真実の解明は、やはり難しいのかな。
A 決定的な証拠はないようです。それに日韓両国には「日韓併合条約の有効性」という大きな問題も残っています。日本は「条約の締結自体は合法であり有効だった」という立場ですが、韓国は「締結自体が違法であり、もともと無効」と主張しているのです。
Q 最近、日韓関係はうまくいっているよね。
A 年間約500万の人々が行き来し、日本では一時ほどではないけれど今でも韓流の人気は高いといえます。それに、日本の民主党が昨年の衆院選のマニフェストで「アジア外交強化」を掲げたことが韓国では高く評価されています。昨年10月の鳩山由紀夫首相の訪韓は、幸夫人が熱心な韓流ファンであることを含め、韓国ではとても好意的に受け止められました。
Q 今後、意見の違いが克服される可能性もあるのかな?
A 韓国側には、最近の鳩山政権の対米外交の混乱や政治資金問題に対する失望感も出ています。だから、楽観はできません。李明博(イミョンバク)大統領が今年訪日すれば、「日韓併合100年」をテーマに日韓首脳がどんな意見交換をするのか注目が集まるでしょう。(ソウル支局)
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毎日新聞 2010年2月12日 東京朝刊