<8/5付 朝日新聞に掲載されたホメオパシー関連の記事について>

2010年7月31日、8月5日の各日付朝日新聞にて、ホメオパシー関連記事が大きく掲載されました。

「限りなく薄めた毒飲み『治癒力高める』ホメオパシー実態調査」「乳児死亡めぐり訴訟も」「問われる真偽ホメオパシー療法」などの大見出しで報道され、オンライン記事においても「『ホメオパシー』トラブルも 日本助産師会が実態調査」という大見出しで報道されています。

http://www.asahi.com/health/feature/homeopathy.html
http://www.asahi.com/national/update/0804/TKY201008040482.html

当該記事は、7月9日の読売新聞
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=27819
でも報道されました「ビタミンK2シロップの代わりに、ホメオパシーレメディーを助産師から投与された乳児が死亡した」という事件を発端にして、ホメ オパシー療法そのものの科学的根拠、科学的証明に関して問題提起を行う内容となっています。

読売新聞報道後、日本ホメオパシー振興会は次のように見解を公表いたしました。
http://nihon-homeopathy.net/semi-info/comment_2010_07_09.htm

この度の朝日新聞の報道を受け、本日(2010年8月9日)日本ホメオパシー振興会は、あらためて以下の通り、見解を公表いたします。

(1)今回の事件が、あたかも「ホメオパシーそのもの」によって起こったことのように報じられています。前回の見解でも述べましたように、VK2シロップの代替として「ホメオパシーレメディーVK2」なるものを投与すること自体、「本来のホメオパシー」ではありません。日本ホメオパシー振興会が普及しております「本来のホメオパシー」においては、そのような無意味かつ危険な行為はありえないことです。

ホメオパシーでは、人間を全人的に捉え、一人の人間が併せ持つあらゆる症状の全体像を一元的に包括する一つのレメディーを見つけて処方します。それが「本来のホメオパシー」であり、それ以外にホメオパシーはありません。ホメオパシーは現代医学の否定の上に成り立っている医療ではありませんので、そもそも、単に新薬の代替物としてホメオパシーのレメディーを処方する、などという発想自体が根本的に存在しません。ホメオパシーにおいては、現代医療で何が行われているか否かにかかわらず、何が真になされなければならないのか、という真の「道理」に基づくことのみが、唯一の指標です。

(2)当該助産師が所属する「ホメオパシー普及団体」の行っていることが、あたかも通常のホメオパシーであるかのような記事内容ですが、その団体は、日本国内でホメオパシーを標榜する1団体にすぎません。しかもその団体が行っていることは、上述のように、「本来のホメオパシー」とはかけ離れており、「ホメオパシーレメディーを使うけれど『本来のホメパシー』ではないまったく別の極めて特殊な療法」です。したがって「本来のホメオパシー」の普及活動を行っている日本ホメオパシー振興会といたしましては、ホメオパシーについての正しい認識に基づいた、公平かつ正確な報道を、強く求めます。

(3)英国議会下院科学技術委員会の報告(report)を元に、まるで英国議会がホメオパシーを否定したかのように報じていますが、これは完全に事実に反しています。この委員会はホメオパシーに否定的な少数の下院議員からなる委員会で、しかも中心メンバーであった議員は今年5月の選挙ですでに落選しています。英国政府は7月26日、最終的な結論として、「患者の満足、信頼、医療選択の権利」を最優先に考えた上、安全性、臨床効果、費用対効果を考慮して、ホメオパシーをこれまでどおりNHS(国民健康保健サービス)の適用対象とすることを発表しています。

Government Response to the Science and Technology Committee report
'Evidence Check 2: Homeopathy’

http://www.dh.gov.uk/en/Publicationsandstatistics/Publications/PublicationsPolicyAndGuidance/DH_117810

この政府発表の中では、確かにホメオパシーの科学的証明については保留されています。しかし、実際にはホメオパシーは高度な科学性と芸術性を併せ持っている医療です。ホメオパシーの科学性を正しく論じるためには、「狭義の科学的手法」だけではなく、科学の本質とパラダイムシフトの歴史、統計学の本質、二重盲検法の本質、そして人間の本質についての深い教養と、謙虚で真摯な科学的態度が必要です。日本ホメオパシー振興会では今後もひき続き、ホメオパシーの科学性に迫る研究を支援し、邁進してまいります。

(4)以上のように、7月31日、8月5日両日付朝日新聞記事で報じられている内容、そしてそれ以降の編集者ブログの内容を拝見いたしますと、
https://aspara.asahi.com/blog/kochiraapital/entry/kNKQFuNbTK
https://aspara.asahi.com/blog/kochiraapital/entry/glgeK5yOwd
https://aspara.asahi.com/blog/kochiraapital/entry/dqPcHZmbez
残念ながら、我々の努力はまだまだ及ばず、ホメオパシーに対する偏見と科学の本質についての無理解が、一般には依然として根深いことを、痛感させられます。

毎回報じられております、ホメオパシーレメディーの誤用に関連して生じている様々なトラブルに対して注意を喚起されようとする姿勢、また病に苦しむ方々が、より安全で質の高い医療を選択できるように情報を提供したいという姿勢は、まさに我々と目標を一にするものです。

我々も今後、心を新たに「本来のホメオパシー」を、正しく日本の皆様にお伝えしていくためになお一層の努力を重ねてまいります。報道各社におかれましても、それぞれ日本を代表するクオリティーペイパーにふさわしい、公平かつ充分な調査と、そして人間と科学の真実に迫ろうとする、深い洞察に基づく、磨き抜かれた記事を、あらためて強く望みたいと思います。

なお、日本ホメオパシー振興会では、ホメオパシーの科学性が問われている現在の状況に鑑み、ホメオパシーと科学に関する考えを一般に公開すべきと考え、2010年7月19日に当振興会主催にて開催いたしましたセミナー「ホメオパシーの科学性」の対談部分を公開いたしました。

このセミナーは、琉球大学理学部准教授である松本丈二(大瀧丈二)先生と、日本ホメオパシー振興会代表永松昌泰によって行われ、両者の対談を含んだ1日セミナーで、ホメオパシーの本質と、科学の本質について深く論じた内容になっています。6時間半におよぶ内容のうち、両者の対談を公開いたしましたので、ホメオパシーの科学性にご関心をお持ちの皆様にはぜひご覧いただき、真の科学の発展のために、共に手を携えてゆく契機としていただければと考えております。なお、このセミナーの全容は、できるだけ早い時期に出版を予定しております。

また、永松のブログ「永松学長のひとりごと」の連載の中では、今回の問題から派生して提議されている処々の問題や、ホメオパシーの科学性に関する詳しい解説を始めております。不定期の更新とはなりますが、セミナーの内容と併せて、この度の報道に対する回答とさせていただきます。

2010年8月9日 日本ホメオパシー振興会


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