内藤に左ひざを攻撃され、苦悶(くもん)の表情を浮かべる棚橋(手前)=愛知県体育館で
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◇新日本プロレス G1クライマックス<第3戦>
棚橋弘至(33)が新鋭・内藤哲也(28)と30分フルタイムドロー。3月のニュージャパンカップで不覚をとった因縁の相手に、リベンジを果たすことはできなかった。これで序盤の3連戦を終え、1勝1敗1分けとなった。また、IWGP王者対決は、真壁刀義(37)が、ジュニア王者のプリンス・デヴィット(29)をパワーで圧倒し、今大会初白星。ヘビー級王者の意地をみせた。
死力を尽くした好勝負。でも、勝つことはできなかった。棚橋が手にした勝ち点は1。リングを降りると、客席から「悔しくないのか!」と罵声(ばせい)が飛んだ。
「悔しくねぇーかって? そりゃ、悔しいに決まってんだろ!」
相手は春のニュージャパンカップで不覚をとった因縁の内藤だ。「負けたのと同じ場所(愛知県体育館)だし、アイツとの違いを見せつける」。並々ならぬ思いでリングに上がった。ドローではダメ。絶対に勝たなくてはならない試合だった。
前夜、大阪大会のメーンイベント。同世代の中邑−後藤戦は互いの持ち味が絡み合う名勝負だった。フィニッシュは意表をつく後藤の新必殺技。この3日間でのベストバウトだ。それを見ていた“名勝負製造機”の棚橋が嫉妬(しっと)しないはずがない。
「心の底からわいてくる、チャラ男らしからぬ思い。オレも負けてらんねぇー。まだまだオレは止まんねぇーぞ」
いい試合をした上で勝つ−。3年ぶり2度目のG1制覇へ“100年に一人の逸材”が巻き返しを誓った。 (森合正範)
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