政府は9日、日韓併合100年に当たっての首相談話を10日に閣議決定する方針を決めた。1995年の「村山首相談話」の枠内で、過去の植民地支配に対する反省とおわびの意を示すとともに、未来志向の日韓関係構築に取り組む姿勢を強調。また、宮内庁などで保管している朝鮮王朝の文化財返還を表明する。
民主党を含め与野党内では、韓国に謝罪を繰り返すことで、日韓間で法的に決着済みの戦後補償問題を「再燃させかねない」との慎重論が根強い。しかし、菅直人首相は先の臨時国会で「本年は日韓関係にとって節目の年だ」と強調。「談話を出すことは政治の基本姿勢として重要だ」(周辺)と最終判断した。
仙谷由人官房長官は9日の政府・民主党首脳会議で、首相談話について「15日や29日を前に決めたい」と述べ、10日に決定する方針を説明。15日は韓国が植民地支配からの解放を祝う「光復節」、29日は日韓併合条約が発効した日に当たる。そうしたタイミングでの発表を避けることで、談話の政治的色彩を弱め、反対派の反発を和らげる狙いがあるとみられる。
首相は9日、自民党の谷垣禎一総裁と電話で会談。谷垣氏が請求権問題が蒸し返されることなどがないよう求め、首相は「話はうかがった」と応じた。福山哲郎官房副長官は、民主党の玄葉光一郎政調会長らと会い、「補償につながる表現は一切ない」と説明した。
朝鮮王朝の文化財の一部は、日韓併合前の李氏朝鮮から、朝鮮総督府を経由して日本に渡ったとされる。2月のソウルでの日韓外相会談で、韓国側が返還に期待を表明し、岡田克也外相らが引き渡しが可能かどうか検討していた。ただ、請求権問題は決着済みとの立場から、「返還」との表現は避ける方針だ。 (2010/08/09-21:10)
首相談話、10日決定=「反省とおわび」−日韓併合100年
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