2010年7月5日 10時52分 更新:7月5日 11時37分
国土交通省は5日、航空機のテロ防止策のため、搭乗客の衣服を透視し、金属探知機で検知できない液体や化学物質などの不審物を調べる「ボディースキャナー」の実証実験を成田空港で開始した。9月までに透視方法の違う5機種を試し、乗客の反応などを聞き取り調査し、導入の可否も含め検討する。
同日、実験が始まったのは、電磁波の一種で人体に影響のない「ミリ波」を照射する米国製の機種。乗客が指定された場所に立つと、前後の検知機がスライド。モニター上では、体はアニメーション化され、隠した物があると機械が自動判別し、表示する。
設置したのは第1ターミナルビル南ウイング保安検査場前。搭乗客が実験に応じるかは任意だが、金属探知機による保安検査も受けなければならない。
5機種のうち1機種は体のラインが鮮明に出るため、プライバシーに配慮して画像の顔にぼかしを入れるほか、別室の画像分析担当者は被験者と同じ性別とした。5機種とも画像は破棄する。
09年12月の米航空機爆破テロ未遂事件で、爆薬として化学物質が下着の中に隠され、金属探知機をくぐり抜けて機内に持ち込まれたことから、欧米各国でボディースキャナーの導入が進んでいる。
この日、実験に応じた東京都品川区の男性会社員(37)は「ものものしかったが、あっという間に終わった。安全のため、ある程度は仕方ないのでは」と話していた。【平井桂月】