日本臓器移植ネットワーク(移植ネット)によると、関東甲信越の病院で9日、書面による臓器提供の意思を示していなかった20代の男性が法的に脳死と判定された。本人は提供の意思を複数の家族に口頭で伝えており、家族が承諾した。家族の承諾のみで脳死下の臓器提供が行われれば、7月17日に改正臓器移植法が本格施行されてから初めての例となる。
男性は交通事故で病院に搬送された。法的脳死判定は、9日午前11時55分に2回目を実施された。脳波が平らであることや自発呼吸の消失など5項目の基準を満たしたことを確認し、法的に脳死と判定された。
移植手術が行われるのは、心臓が国立循環器病研究センター(大阪)、両肺が岡山大学病院、肝臓が東京大学付属病院、腎臓が群馬大学付属病院、膵臓(すいぞう)と腎臓同時移植が藤田保健衛生大学病院(愛知)。
改正法は06年に議員提案され、09年7月に成立した。脳死を一律に人の死とする考えを背景に、本人の意思が不明の場合は家族の承諾で提供できるようにしていた。提供者の年齢制限もなくし、脳死になった15歳未満からの臓器提供を可能にしている。