テッド・バンディの餌食となった被害者達
バンディはハンサムな容姿、魅力的な会話で巧みに少女や若い女性を酔わせ、隙を見て殴りつけ、気絶したところを襲った。
とりわけ好んだのはアナルセックスであり、その後に殺害し、死体を遠くまで運んで切断し、死姦を行うこともあった。
そしてその数日後、死体の場所に戻って、腐乱した首の口の中に射精することもあったという。
ジョニー・レンズ
1月4日、ジョニーのルームメートは、彼女が午後になっても起きて来ないのを心配して部屋へ訪様子を見にいった。
ノックしても返事がないのを心配してドアを開けたその瞬間、ルームメイト達は凍りついた。
彼女の体はまさに血の海の中にあり、出血は止まっておらず、その膣には深くまでベッドの鉄格子がささっていた。
ジョニーは、内臓が露出している状態で病院に運ばれ、一命を取り留めることができたが、一生涯脳に障害を持つ身となってしまった。
以下現場写真有 閲覧注意
1973年、アメリカ ワシントン州。若い女性の失踪事件が相次ぐ。
それらには奇妙な共通点があった。
・黒髪を真ん中で分けている
・美人でスマート、スラックスを履いた若い女
・夜間に行方不明となる
・ワシントン近辺で起こる
・事件の晩、周辺で手や足にギプスをつけた魅力的な男性が目撃されている
・男はなにか困っている様子で、手助けしてもらうべく若い女性に声をかけている
言うまでも無く、かつての婚約者ステファン・ブルックスの容姿もまた、長身・才女・長い黒髪・白人美女である。
リンダ・アン・ヒーリー 21歳 1月31日失踪
リンダ・アン・ヒーリーは良家の子女であり、長いブラウンの髪と笑顔の素敵な背の高い、魅力的な美人だった。
彼女は大学の近くで4人の女友達とルームシェアをして暮らしており、 1974年1月31日の夕方、彼女たちは居酒屋へ行き、彼氏に電話するために早々に帰途に着いた。
しかしその夜、リンダの隣室の友人は、彼女の部屋から全く物音がしないことに気がついたという。
次の日、早朝5時30分にリンダの目覚ましのベルが鳴り響いた。鳴り止まないベルを友人が止めに入ったとき、すでにリンダは部屋にいなかったため、不思議に思いながらも、仕事に行ったのだろうと思いこんだ。
その日の午後、リンダの両親から電話があったとき、ルームメイト達はリンダは仕事にも来ておらず、昨夜部屋に帰って以来誰も彼女を見掛けていないことに気がつく。
現場写真
警察の調べで判ったこと
・枕カバーとシーツがなくなっている。
・リンダのものと同じ血液型の小さな血痕が枕と下に敷くシーツに付着
・クローゼットに丁寧に掛けられた寝巻きにも血痕が付着
・普段着のシャツとジーンズが無くなっている
・用心深いリンダにしては珍しく、ドアに施錠されていなかった
当初、警察は生死に関わる事件か判断できなかったため、指紋の採取や髪の毛、繊維などの採取は行わなかった。
侵入者が非常に静かに家に入って、彼女の寝巻を脱がせ、クロゼットにそれを掛けて、着替えを彼女させ、シーツでリンダをくるんで運んだのだろうということは推測されたものの、捜査は進まず、一年が経った。
リンダは無残にもシアトルの東の山中で首を斬られた姿で発見される。
このあとワシントンで立て続けに女学生の行方不明者が相次ぐ。
ドナ・ゲイル・マンソン 19歳 3月12日失踪
エバー・グリーン大学の生徒。ジャズコンサートに行く途中にバンディに声を掛けられ、
行方不明となる。
遺体は未だ発見されず。
スーザン・ランコート 18歳 4月17日失踪
エレンスバーグ街をワシントン大学に向かって歩いているのを最後に行方不明に。
ロバータ・パークス 20歳 5月6日失踪
オレゴン州立大学から、友人と共にコーヒーを飲むために別の寮のホールまで歩いている間、行方不明に
ブレンダ・ボール 22歳 6月1日失踪
ワシントンにあるパブの帰り道、行方不明に
ジョージアン・ホーキンズ 18歳 6月11日失踪
ワシントン大学の女子寮から誘拐され、殺害される
大学で成績がオールAの才女だった。
7月14日、22歳のドリス・グレイリングは、ワシントン州サマミッシュ湖畔で魅力的な男に声を掛けられる。その男は手にギプスをはめており、車にボートを積むのを手伝って欲しいという。
彼女は快諾し、駐車場までついて行った。
そこには白のワーゲンが停めてあり、男は今からボートがある友人の家まで乗っていき、そこでボートを積んで欲しいと説明した。夫との待ち合わせ時間が迫っていた彼女は申し訳なさそうに手伝いを断った。
男はがっかりした風もなく、微笑んで礼を云った。
数分後、彼女は先ほどの男性がブロンドの女の子を伴って歩いているのを目撃した。
「やっぱり、あれは口実でナンパだったのね」
ドリスは苦笑いした。
そして、8月。
朝の新聞を見てドリスは悲鳴とあげ警察へ通報した。
ワシントンの東部にある山の斜面から5個の大腿骨、2、3個の頭蓋骨、顎の骨が見つかり、ジャニス・オットとデニーズ・ナスランドという地元の女性と判明したというのだ。
ジャニス・オットー 23歳 7月14日失踪
サマミシュ州の公園内湖畔で行方不明に。
デニーズ・ナスランド 18歳 7月14日失踪
昼間、友人、彼氏と公園に来ており、トイレへ向かう途中、行方不明に。
その日、腕にギプスをつけた青年が若い女性2~3人に助けを求め声を掛けているのを友人らは見掛けている。
友人らは誰も彼の手助けはしなかったが、このデニーズは普段から慈悲深く、困った人を見ると手助けせずにはいられない女性だったという。
彼女は肛門性交を強要された後、絞殺され捨てられた。
当時バンディは法律事務所に勤めており、密かにバンディに恋をしていた同僚のキャロル・ブーンが「これって、あなたでしょ!」などとからかっていたという。
もちろん、本気で彼を疑い、通報した者もいた。
エリザベス・ケンドールという女性は手配書を見て自分のボーイフレンドに似ていると警察に通報。
テッドという名前、人相書き、フォルクスワーゲンを所有していること、それに、彼は怪我をした様子も無いのに部屋に松葉杖を置いていたということ・・・
この女性はその後も警察へ行き、有力な情報やバンディの最近の写真などを警察に提出している。しかも、その写真を実際に「ギプスの男」を見たという人々にも見せているのだ!
目撃者の中には写真を見て、確かに似ていると証言した者もいたが、寄せられる情報や通報があまりにも膨大だったため、警察は特に気にもかけず、そのうちそれらの情報は忘れさられてしまったのだ。
警察を始め、彼の写真と経歴を見た誰もが、このハンサムで頭脳明晰、品のある好青年が婦女暴行をする必要があるとは思わなかったのだ。
バンディは直後にソルトレイクシティにあるロー・スクールに通うため、ユタ州に移り住んだ。
当然、ワシントンの連続行方不明事件はぱたりと止むこととなる。
悪夢は10月になって、ユタ州で再開された。
ナンシー・ウィルコックス 10月2日失踪
↑メリッサ・スミス 17歳 10月18日失踪
ユタの警察署長のルイ・スミスには、17歳の娘がいた。
彼は職業柄、この事件の多くの情報を知っていたこともあり、日ごろから格別注意をしていた。にも関わらず、10月18日以来最愛の娘の姿は消え、無残な姿で発見されることとなった。
遺体には絞め殺された痕と、無理やりの肛門性交、及び死姦の形跡が残っていた。
ローラ・エイミー 17歳 10月31日失踪
ハロウィーン・パーティーから失踪
行方不明になって数日後、ローラ・エイミーは川の側で横たわっていた。
エイミーの遺体もまた無残なものだった。
バールで頭と顔の周りを打たれて、レイプされて、肛門性交までされていた。
彼女の失血の量と発見現場の血液の量が違いすぎるため、殺害現場はどこか別の場所だろうということしかわからず、物証も残されていなかった。
この頃になると、ユタ州の警察はワシントン州で起こった連続殺人事件との類似性に気が付き、容疑者リストを作り始めていた。
ユタ警察はワシントン州の捜査官と相談し、一連の事件が全て同一人物であること・・・テッドと名乗り、ギプスをはめ、フォルクスワーゲンを所有している男の仕業であることを確信した。
運命を分けた夜
11月8日夜、キャロル・ダロンシュは書店で魅力的な男性に声を掛けられた。
私服警官だという男は彼女の車に誰かが入って荒らしているのを見たと告げる。
彼女は車を確認したが盗難にあった形跡はなかった。
私服警官は事情聴取のため署まで来て欲しいという。
キャロルは彼のフォルクスワーゲンまで来たとき、不安を覚えたため、警官に身分証明書の提示を求めた。
彼はすぐに金バッジの付いた身分証明書を見せ、車に乗るよう指示した。
車は発射するとすぐに警察署とは逆の方向に車を走らせたため、キャロルは驚いた。
ほどなく男は人気の無い場所で車を停め、彼女に手錠をかけようとした。
法廷で証言するキャロル・ダロンシュ
キャロルは助けを求め大声を上げ暴れた。すると男は銃を取り出し、車に戻らなければ撃つと脅したが、ドアのロックはかかっていなかったため、彼女は外へ転がり出ることができた。
男はバールを手に取り、いつでも頭に振り下ろせるように構えながら彼女を車に引っ張り挙げようとした。
そのときだった。キャロルは無我夢中で男の急所を蹴り上げ、車からの脱出に成功した。
対向車線に向かって走るとすぐにカップルが乗る車が通りかかり、キャロルのただならぬ形相に車を止め、 事情を聞いた彼らはすぐに警察へ向かった。
テッドが犯行に使用していたフォルクスワーゲン
警察に駆け込んだとき、キャロルの腕にはまだ生々しい傷と手錠がぶら下がっていた。
もちろんさっきの狂人は警察に属しておらず、 すぐに警察は1時間前、彼女が命を紙一重で殺人鬼から取り返した場所に急行した。
男はすでに去ったあとだったが、警察は彼女の供述から車種や人相を控え、数日後には近くからキャロルのコートが発見され、それに犯人のものと思われるO型血液が付着していた。
・
なんと同じ日の夕方、バーモント高校のデビー・ケント(17)が失踪。
獲物を取り逃がしたバンディはなおも狩りを続けていたのだ。
警察の無能を嘲ったかのような大胆な手口に余裕がうかがえる。
捜索の際、手錠の鍵が見つかる。
年が明けて1975年1月11日、カリン・キャンベル(23)が失踪。
↓1975年3月15日、ジェリー・カニンガム(26)が失踪。
実際の車内
助手席(手前)が無くなっている
押収された実際の品
長いので一旦きります
↓4月6日、デニーズ・オリヴァーソン(25)が失踪。
↑4月15日、メラニー・クーリーが失踪。
7月1日、シェリー・ロバートソンが失踪。
7月4日、ナンシー・ベアードが失踪。
1975年8月16日、ボブ・ヘイワード警部は、Saltカウンティー湖のすぐ近をパトロールしてい。 彼は辺りの居住者の顔を皆知っているくらい熟知していた。見慣れた町並みの中で、彼は夕暮れの中にフォルクスワーゲンを見つける。
「見慣れない車だな・・・」ナンバープレートをよく見ようと、ライトを点けるとフォルクスワーゲンは急いでどこかへ去ろうとした。
すぐに、ヘイワード警部は、その車を追いかけ始めた。
観念したのか、ワーゲンはすぐに停止ランプをつけ、スピードを落とした。
警部は応援のパトカーを呼び、車から降りてきた青年に免許証と身分証明書の提示を求めた。
テオドア・ロバート・バンディー・・・Ted!
そしてふと見ると、バンディの車の助手席がなくなっていることに気が付いた。
高まる疑惑に警部が緊張したとき、2人の警察官が到着した。
バンディの了承を得て彼らは車内を調べ始めた。
バール、スキー用マスク(目だし帽、ロープ、手錠、ワイヤ、およびアイスピック・・・バンディはすぐに、強盗の容疑で逮捕された。