【社説】ルール無視、世界に恥を広める金剛山観光

 在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の機関紙である「朝鮮新報」は7日付で、「金剛山地区には(北朝鮮)国内や中国、欧州など海外からの多くの観光客が訪れている」「これまでは元山に宿泊しての1日観光しかできなかったが、先月20日からは宿泊先を金剛山ホテルとして観光を楽しむことができるようになった」などと報じた。

 北朝鮮は今年4月末に天安事件を引き起こしたが、その混乱の中、金剛山観光地区内にある温泉など韓国政府所有の不動産を没収し、現代峨山など韓国企業所有のホテルやゴルフ場などを一方的に凍結した。韓国政府の資産は建設費が1242億ウォン(現在のレートで約91億円)、現代峨山など韓国企業が所有する分は2923億ウォン(約215億円)だ。北朝鮮のこのような行為は、投資や資産の保護などを取り決めたルールからすると、南北政府間での合意や事業者間の契約を破棄する違法行為に該当する。北朝鮮は韓国側の資産を違法に没収しただけでなく、今度は外国人観光客を相手に違法な所得を上げ、さらにはそれを海外に宣伝しているのだ。現代峨山は北朝鮮から2050年まで金剛山観光の独占権を確保しており、また金剛山ホテルは現代峨山が長期で借り受けた宿泊施設だ。正当な事業主を無視して自らが事業主のような顔をするのは、破廉恥の極致だ。

 2008年7月に金剛山沿いの海岸で韓国人観光客一人が朝鮮人民軍兵士による銃撃を受けて死亡し、これについて韓国側が要求する真相究明や再発防止などを北朝鮮が拒絶しているため、金剛山観光は2年以上にわたり中断した状態だ。北朝鮮がたとえ外国人観光客の誘致に力を入れても、韓国人観光客が行かないのであれば、一時は年間で20万人にも達した観光客を再び呼び込むことなどできないだろうし、またホテルの稼働費用も回収できないだろう。国全体の足下に火が付き、ついには自分の手で国際的に恥をかく道へと進み出しているのが事の真相だが、北朝鮮自身はそれにさえ気が付いていないようだ。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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