3.今後の財政運営
 
C 米国における取組み
財政再建の、お手本になる成功例を米国の場合で見てみよう。
1969年以来、ピークの年で約2904億ドル(約33兆円)もあった財政赤字を、約30年ぶりに黒字に転換するという財政再建を成し遂げたのがアメリカ合衆国です。その取り組みは日本にも大いに参考になると言えるでしょう。
 
  1981 レーガノミックス(レーガン)  
【概要】 1984年度の財政収支均衡をめざす。 レーガン
  82〜84年度で所得税等約2,800億ドルの減税の実施。
  82〜84年度で国防費を除く歳出を約1,300億ドル削減。
  政府規制の緩和(航空、金融、通信、エネルギー分野等)など。
【結果】 税収増が当初の見込み通り得られなかった一方で、歳出カットが当初の予定通りには進まず、財政赤字が拡大。
  双子の赤字(財政赤字と貿易の赤字。)
 
  1985 グラム・ラドマン法(GRH法/レーガン)  
【概要】 1991年度の財政収支均衡をめざす(後に1993年度に先送り)。
  各年度の財政赤字目標額を設定し、年度当初において財政赤字が目標額を一定以上上回ると見込まれた場合、一律削除を行う。
【結果】 各度当初見込みと実績が乖離し、財政赤字の流れは止まらず。
 
  1990 90年包括財政調整法(OBRA90/ブッシュ)  
【概要】 歳入増加策とともに、メディケアの削減など具体的な歳出削減策を規定。 ブッシュ
  裁量的経費の上限を定めるCapや、義務的経費の増・減税に係るスクラップ・アンド・ビルドを定めたpay-as-you-goを導入。
  91〜95年度で財政赤字を合計約5,000億ドル削減。
【結果】 歳入増加が見込みを大幅に下回り、財政赤字削減見込みを達成できず。
     
 
  1993 93年包括財政調整法(OBRA93/クリントン)  
【概要】 OBRA90と同様に歳入増加策とともに、具体的な歳出削減策を規定。 クリントン
  Cap、pay-as-you-goを導入する規定を1998年度まで延長。
  93〜98年度で財政赤字を合計約5,000億ドル削減。
【結果】 歳入増加、歳出削減ともに見込みを大幅に上回り、財政赤字は大幅に縮小。
     
 
  1997 財政調整法(クリントン)  
【概要】 2002年度の財政収支均衡(議会との合意内容)を法定。
  Cap、pay-as-you-goの規定を2002年度まで延長。
  98〜2002年度で財政赤字を約1,750億ドル削減。
【結果】 従来の財政収支均衡目標年次である2002年度よりも4年早い98年度に財政黒字を達成。
 
 
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