宇部市の宇部フロンティア大付属香川高校の生物教諭、井上実智夫さん(62)が1日、山口市の県教育会館で同市の空襲をテーマに講演した。太平洋戦争での県内の空襲被害や学徒動員などについて語り「戦争体験は足元にあるのだと気づいてほしい」と呼びかけた。
井上さんは「『戦争はどうして起こったのか』という息子の問いかけに答えられなかったから」と約20年かけ、県内の空襲被害を学校や県などの資料を基に調べてきた。講演では、県内への空襲の目的や場所を示したアメリカ軍の作戦情報要約と、県文書館に所蔵されている「警備隊引継書」の敵機来襲状況などを比べながら「記録にも間違いがあり得る。一つ一つを厳密に検証しなければ概要が見えてこない」と説明した。
16人の参加者は「毎日のように戦闘機が上空を回っていた」など当時を振り返りながら、熱心に耳を傾けた。【井川加菜美】
〔山口版〕
毎日新聞 2010年8月2日 地方版