もっとも早くインターネットの影響を受けた音楽文化で、それは顕著である。たとえば、2009年のスペインの音楽市場では、アルバム売上げの上位50位にスペインのアーティストが一人も入っていなかった。スペインの音楽文化は崩壊したといわざるをえない。
出版社が電子書籍への対応を間違えたら、同じように活字文化も衰退・崩壊しかねないのではないだろうか。長きにわたる出版不況で活字文化はすでに衰退を始めているが、電子書籍がダメ押しとなりかねない。
ちなみに、『フリー』という本がベストセラーになって“フリーミアム”といった言葉も流布しているが、マスメディアやコンテンツ企業の関係者は騙されないように注意してほしい。その内容はウェブ2.0時代の無料モデルの焼き直しにすぎず、インターネット上のフリーが文化とジャーナリズムに悪影響しかもたらさないことは、すでに歴史が証明している。
実際、三月に米国で開催されたコンファランスでメディア/コンテンツ業界のさまざまな著名人と議論する機会があったが、みなが異口同音に「『フリー』の主張はシリコンバレーの独善的な発想で論外」といっていた。
『フリー』の内容はデフレ・ビジネスの勧めにほかならない。しかし、デフレ・ビジネスを、マスメディアやコンテンツに適用してはいけないのである。Tシャツやジーンズなら、デフレで価格が下落してもコストが安い中国などの新興国で生産すれば済むが、日本の文化やジャーナリズムを、たとえば中国で生産・維持することなど不可能である。
出版社よ、前向きに攻めに出よ
電子書籍は出版社のみならず活字文化をも衰退させる危険性を秘めている。しかし、ユーザーの利便性が高まる新たな流通を拒否したら、出版というビジネスを行なう側として失格である。それでは出版社はどうすべきか。
まず必要なのは、出版社を衰退させているのはインターネットではなく、時代遅れになった紙中心のビジネスモデルであると認識することではないだろうか。そのうえで、活字文化が消費される市場環境の変化を踏まえて自らのビジネスモデルを大きく進化させることが必要なのである。
その方向性を一言でいえば、“プロの優れた作品を生み出す力”を再強化しつつ、収益最大化を実現できる複数の流通経路の最適な組み合わせを見つけることにほかならない。その際、電子書籍という新しいプラットフォーム上で自らの流通独占を少しでも回復するようにしなくてはならない。
そのためには、個々の出版社が単独で対応しても限界があるので、出版社同士、またはシナジーのある他メディアなどとの合従連衡も必要となるであろう。また、書籍の価格低下圧力に対しても正しく対応しなくてはならない。
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