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西鉄沿線ぶらり旅

東甘木 情熱幾年 輝く成果

2010年08月03日

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女子バレーの指導に情熱を注ぎ、コートに半世紀も立ち続ける桑鶴元昭さん=大牟田市田隈の誠修高校

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独創的なアイデアで、変色しない押し花を考案した杉野俊幸さんと、自身の作品=大牟田市宮部

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朝のひととき、電車通学の高校生たちで活気にあふれる東甘木駅=大牟田市甘木

 東甘木駅(大牟田市甘木)の乗降客は1日約470人。朝方は県立大牟田北高校や私立誠修高校に通学する生徒らの活気であふれる。

 ●強豪バレーに成長
 駅から徒歩5分の誠修高校に向かった。正門右手の体育館に大きな垂れ幕が5本。全国大会出場など、運動部の快挙をたたえている。

 その一つが、6月の県予選を制して全国高校総合体育大会に出場する女子バレー部。夕刻の体育館で、激しくボールを打ち合う選手らに向けて「飛び込め」「勝負」「何やっとんだ」とげきが飛ぶ。

 声の主は、49年間も指導を続ける桑鶴元昭さん(74)。高校総体など計35回の全国大会出場に導き、総監督として休みなく練習に顔を出す。

 バレーとの出合いは1961年。当時は陸上部の顧問だった。バレー部の主将からの年賀状を読んで胸が熱くなった。「陸上部は活躍していいですね。このままではバレー部はつぶれます。せめて2回戦に行きたい」。市内の大会でも1回戦を勝てず、当時は9人制なのに、部員は6人しか残っていなかった。

 陸上部の指導は若手に任せ監督となった。選手らと練習に励み、7年後に高校総体でベスト8になった。教え子から、竹下佳江さんらオリンピック選手も出ている。

 ●押し花研究し特許
 誠修高校の前を流れる白銀川に沿って2キロ近く歩くと、道路から奥まった場所に、2005年から続く「杉野押花美術館」(0944・56・0487)がある。

 館長の杉野俊幸さん(85)が考案した「色あせしない押し花」。その杉野さん自身の作品と、押花絵の団体「ふしぎな花倶楽部」の会員たちの優れた作品が展示されている。

 押し花の研究を始めたのは52歳のころ。植物分類を研究していた父親が残した約5千点の褐色の植物標本を見て、「何とか変色しない押し花ができないか」と思った。水質分析の研究者としての知識を生かし、素早い脱水方法を研究。ガラス瓶に生石灰を入れて青い葉を置くと、2カ月たっても変色しなかった。

 この発見をもとに、乾燥剤をはさんだ乾燥シートを考案して「変色しない押し花」の作成に成功した。NTTの押し花電報も、この杉野さんの特許を生かして生まれた。「自然の美しさが感動といやしを与えてくれる。押し花との響きあいを考え、余白の色を工夫しています」
(松本健造)

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 九州最大の繁華街・天神から県南を結ぶ西鉄天神大牟田線。その駅と地域を紹介した西鉄沿線ぶらり旅は、今回で終わります。

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