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「広島に原爆」川越から傍受 通信社分室が政府に報告(2/2ページ)

2010年8月9日0時42分

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写真:杉山市平氏杉山市平氏

写真:武井武夫氏武井武夫氏

 両記者の上司だった木下秀夫氏は、文芸春秋71年12月号への寄稿で、分室開設について「すべて極秘のうちに行われた」と記し、こう述懐している。「トルーマン大統領の原爆投下声明も、ポツダム宣言も、日本の降伏受諾が先方に届いたことの確認も、その第一報はすべてここでキャッチされた」

 東郷外相への伝達直後の8月7日午後、大本営は広島に投下された核兵器を「新型爆弾」と発表した。軍が「原子爆弾」と認め、被爆地の残留放射能の危険性を公表したのは同14日だったとされる。

 核開発の歴史に詳しい山崎正勝・東工大名誉教授(科学史)は、通信社からの情報が生かされなかったことも、2次被爆の拡大の一因とみる。「日本で戦時中にウランの軍事利用を研究していた専門家は、残留放射能の危険性を知っていたが、軍や政府から知らされずに原爆投下直後の広島、長崎に入り、命を失った人たちがたくさんいる」

 鳥居氏は、新聞通信調査会の会報「メディア展望」で、川越分室に関する連載を始める予定という。(村野英一)

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