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振興銀メール削除、発覚は偶然 検査外のサーバーに保存

 日本振興銀行(本店・東京都千代田区)の検査妨害事件で、業務用の電子メールの削除が発覚したのは、振興銀が提出しなかった行員の業務メールを、金融庁の検査官が偶然コンピューター内で見つけたことがきっかけだったことが関係者への取材でわかった。警視庁は、大量のメール削除は前会長木村剛(たけし)容疑者(48)が主導したとみて経緯をさらに調べている。

 振興銀の検査は昨年6月に始まった。関係者によると、開始から約3カ月がたったころ、検査官が業務メールの検査とは別の作業をしていたところ、コンピューター内に行員のフォルダーがあるのを見つけた。このフォルダーを開けたところ、多数の業務メールを偶然見つけたという。

 これらのメールは、振興銀が検査用に設けたサーバーからは削除されており、検査官の要請で振興銀が提出した分に含まれていなかった。削除前にサーバーから複写され、行員のフォルダーに保存されていたとみられるが、経緯は不明だ。

 メールの発見を受け、検査官は振興銀の担当者に「メールを削除したのではないか」と指摘。担当者は「調べる」と答え、9月中旬に「必要なメールを抽出する作業中に過って消してしまった。人為的ミスで故意ではない」と虚偽の説明をしたという。

 こうした説明内容は、検査開始を控えた時期に木村前会長と幹部らが検査への対応を検討した会議の場で話し合われ、検査で発覚した場合はそのように釈明すると申し合わせていたという。

 このメール削除発覚後、金融庁はバックアップのデータからも復元し、削除されていた業務メールすべてを入手。その結果、計七百数十本が削除されていたことが判明した。サーバーへの接続記録から、元執行役関本信洋容疑者(38)らが削除を実行していたこともわかったという。

 「asahi.com」 2010年07月16日

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