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【外信コラム】ソウルからヨボセヨ 漢字かハングルか
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ソウル中心部にある故宮・景福宮の正面、光化門の復元工事が終わり15日、新たにお目見えする。それまでコンクリートで“復元”されていたのを、本来の姿の木造に復元する工事が進められていた。
完成式を前に扁額(へんがく)の「光化門」を漢字にすべきか、それとも韓国文字のハングルで「グヮンファムン」にすべきか議論になっている。漢字派とハングル派に分かれデモをしたり意見広告を出したりにぎやかだ。
景福宮は李王朝時代のものだから本来は漢字だった。しかし1968年、朝鮮戦争で壊れたままになっていたのをコンクリートで復元した際、当時の朴正煕大統領の揮毫(きごう)でハングルにした。コンクリート製で、かつ扁額もハングルとあって、光化門は文化財にはなっていなかった。
ハングルにしたのは朴大統領の民族主義のせいだ。今回は文字通り昔に戻す復元だから当然、漢字のはずなのにハングル主義者たちは「ハングルを作った世宗大王の銅像を前にした門に漢字は許せない」「ハングルこそ21世紀の時代精神」として反対している。
韓国では「歴史清算」などといって、あるがままの歴史を後知恵で書き換えるということがよくある。先年、放火で焼け復元工事中の国宝1号、南大門の扁額もハングルにしろというのだろうか。(黒田勝弘)