プロローグ
人類が地球の周辺宙域をこえ
火星にまでその生活圏を広げた宇宙時代。
しかし地球環境の悪化と、
人が抱えるいくつもの問題は いまだ解決されてはいなかった。
遺伝子操作によって生み出される“コーディネイター”たちの出現。
人々は新たな時代が来ることを期待したが、
急激すぎる変化はそれに適応する者と拒絶する者を生み出すことになった。
その能力ゆえに宇宙へとおいやられたコーディネイターは、
新型コロニー群“プラント”を建設。
しかしコーディネイターが自分たちの統制下を
離れることを恐れた“ナチュラル”たちは、
“プラント”の独立を拒みつづけ、その対立は深刻さを増しつつあった。
そんな中、独自の自衛策を講じはじめたプラントの行動を
プラント宗主国に対する反乱であるとして、
大西洋連邦を中心とする地球連合諸国はでは
実力行使によってコーディネイターたちに制裁を与えるべきとの声が高まっていった。
コズミック・イラ70年・・・・
『血のバレンタイン』の悲劇によって
地球・プラント間の緊張はいっきに本格的武力衝突へと発展した・・・・
誰もが疑わなかった数で勝る地球軍の勝利・・・・
が 当初の予測は大きく裏切られ 戦局は疲弊したまま
すでに11か月が過ぎようとしていた・・・・
月にある廃墟と化した場所から、物語は始まる・・・
【月面・とある廃墟】
廃墟と化した中央にある慰霊碑に一人の少年が花を置き、
そして静かに目を瞑り、冥福を祈っている。
「(今日で父さんがいなくなってから四年が経った。
今の俺は、父さんと母さんが十分なお金を残してくれたから、
生活には困ってないし・・・それにザフトと連合の戦いが始まって、まだ日本は
巻き込まれてないけれど、それでも何とかやっていけてるよ。)」
少年はゆっくりと目を開けて、無惨にも崩れている壁や垂れ落ちたコードなどを
じっと見回していた。
そして、訝しげに顔を顰めた。
「(・・・ニュースでは事故で、爆発が起きたと言っていたけど。
結局、原因不明のままになっているんだよな。)」
少年は当時のニュースのことを思い出しながら、シャトルが置いてある場所へ
ゆっくりと来た道を戻りながら歩いていた。
「(そういえば、俺、父さんが月で仕事しているのは聞いていたけど・・・
何の仕事をしていたのか、聞いたことなかったな。
一応、調べたけど結局分からなかったし。)」
その時、少年の視界にキラッと何かが光った。
「?・・・なんだ? 今、何かが光ったような・・・」
少年は、足を止めて視界に入った光の下へ足を向けた。
そこに入り、目の視界に入ったのは、空間が広い場所だった。
周りをみると、どうやらここは格納庫のようらしい。
ざっと見回して、そこで得体のしれない存在がそこにあった。
「・・・これって、ロボット!?」
得体のしれない存在は巨大なロボットだった。
まるで、少年を待っていたかのように・・・悠々とそびえ立っていたのだ。
そして、また光が反射する。
「さっきの光って、あそこから? でも、何でこんな廃墟にロボットがあるんだ?
誰もいないみたいだし、ともかく行ってみるか・・・」
少年は先程から淡く漏れている光の下へ近寄っていった。
それが、自分が巻き込まれることになる戦いの前触れだったことを、
このときはまだ知るはずもなかった。