ただ、それを飛ばして読むと、著者のいいたいことはわかる。それは簡単にいうと、"Linked"で空間について成立していたベキ法則が、時間についても成立しているということだ。たとえばバブルがいつ起こるかはわからないが、10年に1度はどこかで必ず起こる。これは経済物理学でもわかっていることで、その原因は人間の集団的行動に非線形性があるからだ。
だから「長期金利が1%を切ったから国債はいくら発行しても大丈夫」とか「バーナンキの背理法によってマイルドなインフレは必ず起こせる」などというのは誤りだ。こういう議論は、マクロ変数が連続的に増減すると仮定しているが、国債の暴落やハイパーインフレは非線形のバーストだからである。タレブが本書を推薦していることでもわかるように、ブラック・スワンは本質的にバーストだ。
神野直彦氏の「国債900兆円は踏み倒せばいい」という話も、たぶん近い将来には妥当だろう。もしかすると団塊の世代が死ぬまでには何も起こらないかもしれないが、起こるかもしれない。櫻川昌哉氏によれば、今後100年間に財政が破綻する確率は99.91%だから、「強い社会保障」と称して歳出を膨張させることは、100発入りの拳銃でロシアン・ルーレットをやるようなものだ。次の1発で死ぬ確率は1/100だが、当たったときは終わりである。
神野直彦氏の「国債900兆円は踏み倒せばいい」という話も、たぶん近い将来には妥当だろう。もしかすると団塊の世代が死ぬまでには何も起こらないかもしれないが、起こるかもしれない。櫻川昌哉氏によれば、今後100年間に財政が破綻する確率は99.91%だから、「強い社会保障」と称して歳出を膨張させることは、100発入りの拳銃でロシアン・ルーレットをやるようなものだ。次の1発で死ぬ確率は1/100だが、当たったときは終わりである。
コメント一覧
経済学は相転移・位相欠陥・ソリトンといったようなことは扱わないのですか。(私も全くのディレッタントでよくわかっていないけど)