Hatena::Diary

絶対に野村證券で口座を作るな〜証券リテールの真実〜

2010-08-06

ノルマの代名詞「募集モノ」 諸悪の根源「回転売買」「投信乗り換え」

よく野村證券は「ノルマ証券」と揶揄されるほどのノルマ主義だということは、周知の事実であろう

毎月手数料で○○○万円などとノルマが決まっているものなのだが、この「募集モノ」が来たときはまた別の「ノルマ」が発生する

「募集モノ」とは何かというと、これは上(本社)が勝手に

「今月はこの商品をやってくれたまえ」

といった具合で支店におろしてくる商品である

これが支店によって5億とか10億とか割り振られる

そしてこの時、営業マンは各々

「私は○千万円分売ります」

みたいな計画書を書かされる

これは勿論、営業マンが勝手に作るものである

「山田さんはオレの客の中では一番の資産家だからオレが言えば多分1500万円くらい買ってくれるだろう、田中さんはこの前買ってもらったばっかりだから300万円くらいかな」

といった具合に勝手に誰々にいくら売るという計画(?)を立てる

そして募集が開始すると同時に自分の顧客を上から総ナメで電話していくのである

大体その時のセールストークはこうだ

「この度ですね、弊社で非常に稀少価値の高い商品がでまして云々…」

--------------------------------------------

ちなみにこの「募集モノ」というのは文字通り、上から一方的に「やれ」と言われるものだ

なので個人的相場観はそこに介在しない

例えば南アフリカの商品だったら、この日以降、「南アフリカ投資にとってプラスとなる材料だけ」を探し日経新聞アナリストレポートをみるようになる 勿論この世には5万とアナリストがいるので「南アフリカが良い」という人もいれば「南アフリカはもうダメだ」というアナリストもいる 野村證券の営業マンは、その時の募集モノによって非常にバイアスのかかった情報収集をするのである そうしてセールス「ストーリー」を組み上げていく

--------------------------------------------

こんなことを毎月繰り返しているので、そうそうお客さんも新しく商品を買ってはくれない

ちなみに金を新しく出して商品を買ってくれることを(つまり回転売買でない場合)を「キャッシュ」というのだが、そうそうキャッシュでは買ってくれなくなる 顧客の資産投資にばかり使ってられないからだ

しかし自分の分のノルマの分は売らなければならない

その時どうするかというと

「回転売買」「投信乗り換え」

という行為を行う

ちなみにこの「回転売買」「投信乗り換え」は現在の証券会社が行っている最も重い罪のひとつである

これは以前買ってもらった投資信託やら株式やら債券を

「こっちはあんまりよくなかったんで…今回のこの商品こそはホンットにいい商品なので」

といって無理やり売ってもらい、その分この新しい募集モノの商品を買ってもらうのである

繰り返しになるが、投資とは本来、長期で考えるものである それも1年や2年ではない 5年、10年で着実にリターンを残していくべきものなのである

だが、現実にそんなことをやっている営業マンは野村證券にはいないだろう

彼らは短期の「回転売買」「投信乗り換え」を繰り返し、ノルマを消化する

例えばこんな会話があった

上司「おい、お前あとノルマ5000万円残ってるぞ どうするんだよ」

部下「もうお客さん全員に電話しましたが、もうこれ以上はできません」

上司「ウチの会社で『できません』はありえないんだよ!ちょっと顧客の資産リスト見せてみろ…ああ、このばーさん国債1億持ってるだろ これ半分売って募集モノの投信買ってもらえ いいか、絶対売らせるんだぞ 売らせるまで帰ってくんなよ!」

このような具合である

大抵、この募集モノは投資信託が多い 例えばリーマンショック後、社運を挙げて全国の支店でやった募集モノがある

これは「米国ハイ・イールド債券投信」(解説「米国ハイ・イールド債券投信とは? 〜野村證券で一番人気の投資信託の秘密〜」→http://blog.livedoor.jp/kawase_oh/archives/51561918.html)というものだった

まあ「ハイ・イールド」とはよく表現したもので、実際は「ハイ・リスク」と言い換えられる

中身は投資不適格のジャンク・ボンド(BB+以下の債券)をかき集めた超ハイリスク商品だった

これを国債という最高レベルの安定性を持つ商品から乗り換えるのである 

営業マンのノルマを果たすためだけに

そして、もしこれの基準価格(株価みたいなもの)が

パターン1 上がったら数カ月で「利食い(利益確定)しましょう」といい、売り、また新しい募集モノを買わせる」

パターン2 下がったら数カ月で「損切り(損失確定)しましょう」といい、売り、また新しい募集モノを買わせる」

これを繰り返すのである

ちなみに個人投資家本人はあまり気づかないかも知れないが、冷静になって計算してもらいたい

購入の度に手数料というものが基本3.15%、高いものだと4.2%ほど取られる

これがもし、営業マンの言うとおりにして、3ヶ月ごとに売買を繰り返していたら、1年で12%以上手数料を払っていることになる

12%なんてリターンはそうそうなハイリスク商品でなければ残せない、というかこの手数料を差っ引いたらリターンはどんなハイリスク商品でもせいぜい数%、もしくはほとんどが損失になるだろう

また投資信託ではなく、株式の売買でも片道で約1.25%ほど、つまり買い売り併せて2.5%ほどの手数料をとる

株式の短期回転売買でも手数料を稼ぎ出したり、株を売って「募集モノ」を買わせたりする

こうして野村證券は「回転売買」「投信乗り換え」で顧客から手数料を搾取し続け、なおかつ募集モノのノルマを消化するのである

ちなみに僕も詳しくは知らないのだが、大和証券の場合は「乗り換えは購入後1年以上経たなければやってはいけない」というコンプライアンスがあるらしく、乗り換えは中々できないシステムとなっているらしい

野村證券は逆にこの「回転売買」「投信乗り換え」を幾度も使い、手数料を積み上げている(2010年3月期決算で3883億円の収益、その内訳は投信手数料、株式売買委託手数料の増加、と公式サイトニュースリリースにあった http://www.nomuraholdings.com/jp/investor/summary/financial/data/2010_full_usgaap.pdf

ちなみにこの「募集モノ」のノルマは絶対である なぜかというと、すでに一定額を支店で抑えてしまっているため、売れ残りは許されないからだ

なので、もし最終日になっても募集モノが売れ残っている場合は夜中まで残らされてひたすら電話をさせられる これはまさに地獄絵図である

野村證券の国内営業部門の主たる収益の現状は、こうしたカラクリの中にあるのである

TsuyoshiTsuyoshi 2010/08/07 08:06 人気になりうるブログなので1ゲッツしとく!
仕事できなかったらつまらなそうだけど、できたら楽しそうだと思ってしまった私がいる。
いい方向に進めばだけどな!

fox0113fox0113 2010/08/07 11:10 >Tsuyoshiさん
正直、僕は仕事ができている時期もありましたが、それでも全く面白さを感じませんでした
やはり適正ですね

達人達人 2010/08/07 11:34 私なんて最初から仕事できてなくて干されましたので。
アホらしくて辞めます。欝状態になりましたので。
いや、辛かった。
うちは募集ものは豪ドル、南アランド、伯レアル債ばっかでしたね。
声を大にして日本はギリシャと同じだから外債に逃がしましょうってやってたな。
日本はまだ大丈夫だよ、ほかの国の債券まで買えるだから。

乗り換え投信ね一応社内審査あるからどうにかして通るように先輩は苦慮してたな。

こんな無理な営業するなら規模縮小したらいいのにと思う。

fox0113fox0113 2010/08/07 11:41 >達人さん
僕もそのへんの募集モノ投信が多かったですね
あとはWTIとかもやりました
今まだ野村證券に在籍している人に聞くと、もう乗り換えの嵐で悲惨な状態だそうです

武蔵武蔵 2010/08/07 12:18 私も元大手証券マンです。
私の場合、毎月でる募集物をお客様にはめ込み営業するのも辛かった面もありますが、もっと怖かったのがノルマを落とすことでした。お客様の名簿を上から眺めていって、もうどうにもこなせないってなったときの恐怖感が強烈にありました。なんでできないんだよって詰められている時もしんどかったなぁ。。

fox0113fox0113 2010/08/07 12:27 >武蔵 さん
証券マンではよく見られる光景なのでしょう
僕は新人で顧客の数自体が極めて少なかったので、とにかくリストの企業を電話させられまくったのを覚えています
あの時の恐怖とプレッシャーは今でも忘れられません

頑張れ!頑張れ! 2010/08/07 16:22 今回の話も、とても興味深かったです。
「野村證券残酷物語」というブログも見ましたが、見事なくらい同じ話が載ってました。参考にしたわけじゃないだろうに。「野村〜」の方は80年代から90年代にかけての話のようだけど、その頃から野村證券のやり方は全く変わってないとは・・・恐ろしい。

株屋は、兜町の隅っこで、お大尽相手に細々と商いやってろ!などと言いたくなります。

これだけ犯罪や犯罪まがいの行為が繰り返されてるのに、野村證券が裁判に訴えられたというニュースは見ない気がします。食い物にされた客って、どうしてるんでしょうね?

fox0113fox0113 2010/08/07 16:48 >頑張れ! さん
ありがとうございます
僕も「残酷物語」は見たことがあるのですが、記憶にはなかったです まあおそらく同じことを繰り返していたのでしょう リスクが顧客側にあるのをいいことに「イエスマン(またはウーマン)の顧客を食いつぶしていたのは紛れもない事実でしょう

あばばっばばあばばっばば 2010/08/07 19:34 他のエントリーで湧いてるコメント欄で「自分で知ってて入ったんだろ?」とかほざいてる社畜は早々にこの社会から駆除されるべき。
犯罪みたいな人権蹂躙擁護してることに気付いてないのか?こういう連中は。
こんなのが積み重なって理不尽が正当化されるんだからもうやになっちゃうのよ。

徒然なるままに徒然なるままに 2010/08/07 20:38 私も大手証券出身です。
新卒の時野村から内定もらいましたが恐ろしくて辞退しました。
しかし他社証券でも大差無い事が起こってますね。
ハタとかゲタって営業用語も知ってるでしょうがノルマや仕切りは年次重ねるほど厳しいですからね。
昔の方、今の支店長や部長クラスの方がもっと嫌な世界だったでしょうがどの世代でも理不尽な事は理不尽に残ってますな。
ただ野村出身は転職市場では価値ありますよ、出てから若干ありがたみを感じますきっと。
乗り換えやキャッシュの概念は社内ルールやコンプラなので会社の考え方一つです、なので変わるときはあっさり変わります。
あと大まかに支店長が王様なので支店長が人格者だとなんとか救われます。残業やら休日タダ働きとかですが。

特に中身のないコメントですが読んでたら発言したくなりつい(笑)
出来事とかの臨場感がイメージできるので面白いよ。
執筆続けてくださいね!

スパム対策のためのダミーです。もし見えても何も入力しないでください
ゲスト


画像認証

トラックバック - http://d.hatena.ne.jp/fox0113/20100806/1281111904