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辻元前副国交相:社民を離党 再建の切り札失う

 社民党の辻元清美前副国土交通相(50)は27日、大阪市内で記者会見し「政策実現の可能性をぎりぎりまで求めたい」として同党に離党届を提出したと表明した。当面は無所属として活動し、次期衆院選大阪10区には無所属で立候補する意向だが今後は民主党との連携を強めるとみられる。「ポスト福島」の有力カードを失うことになる社民党は再建に一層暗雲が垂れこめている。

 辻元氏は会見に先立ち、東京都内の参院議員宿舎で福島瑞穂党首と会談し、離党の意思を伝えた。福島氏の慰留に対し、辻元氏は「社民党は批判勢力として大切だから頑張ってほしい」と述べ、政策実現を重んじる自身の立場とは相いれないことをにじませた。会見で読み上げた1枚の紙には「政策実現は小さな政党には容易ではない」「政権とかかわりながら(党の政策を)実現する道をもっと辛抱強く探るべきだ」などの言葉が並び、さながら社民党との決別宣言だった。

 一方で、今回の離党劇には次期衆院選をにらんだ打算も見え隠れする。09年の衆院選では民主党は大阪10区に公認候補を立てず、選挙協力できたことが勝利につながった。だが、今や民主、社民両党は与野党に分かれ、辻元氏は5選への展望が描きにくくなっている。社民党内には「何よりも次の選挙への懸念が離党表明の引き金ではないか」という冷ややかな見方さえある。

 とはいえ、辻元氏の離党表明が社民党に痛手なことには変わりない。参院選敗北の責任をとらない党執行部に批判的な辻元氏が去れば福島体制は当面存続するが、同時に党再建の「切り札」も失う。福島氏は27日、記者団に「本当に残念。やはり打撃だ」と認めた。

 これに対し民主党には「辻元氏がいずれ入党するのではないか」という期待感がある。前原誠司国交相は27日の会見で「すばらしい政治家なので、無所属になったらまずは一緒の会派で仕事をさせてもらいたい」とさっそくエールを送った。【塙和也、田辺一城】

毎日新聞 2010年7月28日 東京朝刊

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