【コラム】「天安」沈没事件は北朝鮮の大勝なのか(下)

 貨幣改革(デノミネーション=通貨単位の切り下げ)の失敗で北朝鮮の市場がまひし、「天安」沈没事件で外貨収入が急減するや、庶民から上層部まで政権に対する高い不満が噴出しはじめた。「天安」への攻撃を成功させ得意顔の北朝鮮軍部は、今やほかのエリートたちから目の敵にされている。「経済難の解決が急務なのに、軍部の石頭たちは火に油を注いでいる」というわけだ。

 最近になって平壌を訪問した在外韓国人たちは、北朝鮮の高位幹部らの態度に変化が見られたと話す。貨幣改革以前は、外部の支援にけちをつけて突っぱねてばかりだったが、今では「トウモコロシ一粒でも頂ければありがたい」と頭を下げているという。「本当に大変なことになった。今後どうなるか誰にも分からないため、どうか助けてほしい」と哀願する幹部もいたとのことだ。底辺の住民はもちろん、余裕のあった幹部クラスまでもが生活苦にあえぐほど切羽詰まった状況なのだ。軍隊でも配給が円滑に行われず、食事がトウモロコシとジャガイモだけという光景が当たり前になっている。金総書記の権威にヒビが生じないわけがない。

 さらに、東海(日本海)と西海で行われた韓米合同軍事演習は、北朝鮮軍部に圧力と苦痛を与えたはずだ。兵士に食べさせる当座のコメも不足している状況で、対応訓練は考えにくいからだ。「天安」沈没事件についての断罪は、目に見える短期的な結果物ではなく、時間をかけて徐々に成果を挙げるものと信じたい。戦闘には負けたとしても、自由統一を成し遂げられる主導権は大韓民国が握っている、という事実だけは忘れないようにしたい。

姜哲煥(カン・チョルファン)東北アジア研究所研究委員

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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