現在位置:
  1. asahi.com
  2. ニュース
  3. ビジネス・経済
  4. コラム
  5. 経済気象台
  6. 記事

二番底不安解消へ

2010年8月7日0時2分

 リーマン・ショックから間もなく2年になる。金融不安を克服し、世界景気は底入れしたかに見えた。ところが今年春、ギリシャ危機が発生し、世界経済の先行きに再び不安感が漂い始めた。

 というのも今回のギリシャ危機は、大幅な財政赤字問題が主因であったためで、これまで各国が続けてきた財政刺激策の継続に疑問が投げかけられたからだ。財政再建なのか景気刺激策継続なのかが議論され出した。

 日本に目を向けると、今のところギリシャと違い国の借金のほとんどが、国内資金で調達されている。とはいえ、日本はとてつもなく巨額な財政赤字を抱えている。もし今までの財政刺激策が見直され、財政健全化を急げば、明らかに国内景気の回復は困難となる。

 緊急的に発動された耐久消費財購入促進のためのエコカー減税などの優遇策も終了が予定されている。これによる国内消費の低迷も懸念される。まさに景気の二番底もあり得よう。これを回避するためにどうするべきか。

 まず、景気の持続的成長が確信されるまで政府は財政・金融両面の刺激策を継続すべきである。通常、財政再建を早めれば、金利が低下し、自国通貨安となり、財政再建によるデフレ効果も小さくて済むはずだ。しかし、日本の場合はこれが当てはまらないからだ。

 また、政府は大幅な規制緩和や教育改革を実施し、新しい産業や技術革新を起こし、それらに対する民間ベースでの投資機会を増やす。それは内需拡大につながるはずだ。同時に政府主導の通貨安定策の推進も重要で、国内のデフレ解消や海外投資拡大にも役立つであろう。

 なんとしても二番底は避けなければいけない。(QJ)

    ◇

 「経済気象台」は、第一線で活躍している経済人、学者など社外筆者の執筆によるものです。

PR情報
検索フォーム

おすすめリンク

数学や統計学の先端理論を用い、人間社会の経済活動を分析・解明する。

人間社会の経済活動を分析・解明する「経済物理学」。ケインズ経済学との関係を労働生産性という視点から論じる。

お金と上手に付き合っていく技を、経済ジャーナリスト荻原博子さんがご紹介


朝日新聞購読のご案内
新聞購読のご案内 事業・サービス紹介

ビジネストピックス

クラウド・コンピューティング特集

新たなIT時代を読み解くキーワード「クラウド」を理解するには?