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【グラニュース】


ピクシー悲願へ準備OK

2010年8月7日 紙面から

名古屋グランパスがJ初制覇へ向け絶好のポジションで折り返し地点を迎える。16試合消化時点で勝ち点32の3位。首位・鹿島との勝ち点2差は、あってないようなもの。日本代表DF田中マルクス闘莉王(29)を中心に厳しい夏を乗り越えて、Vロード一直線だ。

 ドラガン・ストイコビッチ監督(45)は、「チャンピオンになる」と公言して、クラブ史上最長政権となった3年目の今季に臨んだ。オフには、日本代表DF闘莉王や、将来のエース候補、MF金崎夢生(21)ら大型の新戦力を補強。W杯南アフリカ大会に、闘莉王のほか、GK楢崎、FW玉田、オーストラリア代表FWケネディの4選手を送り込む充実の戦力を誇る。

 W杯による中断期間のキャンプでは、過酷な夏場を乗り切る体力を養うため、1日約10キロの走り込みを課した。戦術面でも、代表選手の個人能力に頼りがちだったことへの反省から、選手同士がポジションチェンジやカバーを繰り返して動く、流動的な攻撃を目指して、練習を重ねた。また、中盤の底(アンカー)として、身体能力に秀でたMFダニルソンを徹底的に鍛えた。再開後のJ1では、チーム戦術への適合も進み、その能力をフルに発揮しつつある。

 昨季は、王者・鹿島にアウェーで圧勝し、天皇杯優勝のG大阪に2勝するなど上位チームに力を見せる一方で、J2に降格した大分、柏、千葉に1勝ずつを献上した。下位チームに星を落とす安定感の欠如が、9位という結果を招いた。

 昨季の教訓から、ピクシー監督は、「J1に簡単な試合はない」と、気を引き締めている。前半戦を終えて、圧勝は少ないものの、下位チーム相手に取りこぼすことなく、着実に勝ち点を重ねてきている。悲願のJ1制覇に向けて、いよいよ正念場の後半戦に突入する。 (伊東朋子)

◆闘莉王「みんなタフになってきた」

 リーグ戦も折り返し地点が近づき、いよいよ激しさを増す上位争いへ、闘莉王は赤鯱軍団の確かな成長を感じている。

 「勝たないといけないというプレッシャーの中で、みんな少しずつメンタル的にタフになってきた。強くなってきている感じはする」

 そう話したのは、7月31日の横浜M戦後のことだった。リーグ戦再開後、7月の4試合を3勝1分け。着実に勝ち点を積み上げるたくましさを、チームは身に着けつつあるという。闘莉王自身も、大宮戦で決勝アシスト、湘南戦で先制ゴールと攻守両面に渡る活躍が光っている。

 14日には豊田スタジアムで、古巣・浦和との初対決が待っている。5月のアウェー戦は累積警告で出場できなかっただけに、待ちに待っていた。6シーズンを過ごし、リーグ制覇も味わった古巣との対戦。「雰囲気が好き」と公言する豊田スタジアムが会場だけに、燃えないわけがない。

 W杯南アフリカ大会では4試合2失点の堅守を打ち立て、16強進出に貢献。大会後には燃え尽きかけたが、母国ブラジルで見舞った病床の父パウロ隆二さんから「中途半端な気持ちで終わるな」と逆に励まされ、気持ちを奮い立たせた。帰国後の会見で、「僕は名古屋の選手です。本当に誇りに思えるような戦いをしなきゃいけない。W杯だろうと、名古屋の親善試合だろうと、気持ちは一つも変わらない」と決意を新たにした。

 「ストイコビッチ監督を男にしたい」。開幕前の誓いを実現する時まで、闘将は奮闘し続ける。 (塚田陽一郎)

 

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