格差社会:人生のはしごを登ることすらできない「2030世代」

【特集】韓国社会から消えゆく「階層上昇のはしご」

 ソウル市内のある私立大学経営学科を卒業したパクさん(30)は、カナダでの語学研修も経験したが、卒業後4年たっても就職できずにいる。銀行員として働き退職した父親から、いまだに小遣いをもらって生活している。

 パクさんはTOEIC(国際コミュニケーション英語能力テスト)800点台後半、大学の成績も4点(4.5点満点)に近い。パクさんは「大企業10社以上に応募したが、すべて不採用だった。だからといって、適当な会社に就職したくはないため、いらいらしてストレスがたまる。このままスタート地点に立つことすらできず、三流人生を送るのかと思うと夜も眠れずつらい」と話した。

 高成長が止まった後に社会へ進出した「2030世代(20代後半から30代前半の世代)」は、「(人生成功への)はしごに一度だけでいいから登ってみたい」と口をそろえる。

 ソウル市内の私立大学教育学部を2008年8月に卒業したチェさん(26、女性)は、仕事を4回も変えた。最初の職場は幼児用教材を作る中小企業だった。研究開発も行い、創意的な能力を発揮したいと思ったが、ほかの教材をコピーしたり、取引先との接待に連れていかれたりすることの方が多かった。チェさんは「ここで自分自身の人生を歩めるのかと悩み、会社を辞めた」と話す。

 昨年、慶北大学を卒業した就職浪人のイさん(28)は、「どの企業も、スペック(成績などの外的条件)よりも能力を見ると言うが、いざ応募してみるとそうではない。海外研修の経験など、経済的余裕がなければ身に付けることが難しい条件で合格している人を見ると、挫折を感じる」と話した。

 何とか就職できても希望が見えないケースが多い。テレビ番組の外注制作会社でプロデューサーとして働くチョ・ジンファさん(28)の年俸は、1500万ウォン(約107万円)を少し超える程度。3年目だが、入社後、年俸は50万ウォン(約3万6000円)上がっただけだ。同僚の多くは6カ月もたたずに辞めていく。この苦労を乗り越えたからといって、何か新たな希望が見えるわけでもない。入社競争がとても激しかった上に、自分のような経歴でほかの会社に移る機会などない。チョさんは、「80年代に大学に通った先輩たちが、『わたしたちは3、4社から受けた内定通知を並べて、悩んだ末に就職先を決めていた』と言うのを聞くと、大昔の話のように聞こえる」と話した。

特別取材チーム

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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